マレーシアを代表する国民食のNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)。
ココナッツミルクの香りがふわっと漂うご飯です。
この記事ではNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)の概要と定番のおかず、マレーシアにある様々な種類のNasi Lemakについて紹介します。
目次
マレーシアの国民食のナシレマ(ナシルマ)とは?
ココナッツミルクで作るご飯のNasi Lemak。
主に朝食や昼食に食べられている、マレーシアの国民食と言える定番グルメで、路上にあるお店から専門店まで、色々な場所で広く販売されています。
ユニークなところでは、マレーシアのマクドナルドやケンタッキーなど、大手のファストフード店にもNasi Lemakメニューがあります。
蒸して作る伝統製法
上記画像にある木製の大きな桶を使い、蒸して作る方法が伝統的な製法になります。
蒸すという意味を持つマレー語のKukus(ククス)という言葉を使って、蒸して作られたNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)はNasi Lemak Kukusと呼ばれることもあります。
ただし、一般的には単純にNasi Lemakと呼んでいます。
マレーシアの東海岸ではNasi DagangやNasi Kerabuが朝食の定番
Nasi Lemakはマレーシアの国民食と言われるものの、Kelantan(クランタン)やTrengganu(トレンガヌ)などのマレーシア東海岸では、Nasi DagangやNasi Kerabuが朝食の定番になっています。
Nasi Dagangもココナッツミルクを加えて蒸して作る料理ですが、ご飯にフェヌグリークシードを加えて炊くところが特徴で、Nasi Lemakとは異なる美味しさを持つご飯です。
Nasi Dagangの詳細はこちら
Nasi Kerabuの詳細はこちら
Nasi Lemakの意味
マレー語で、
- Nasi:Rice(ご飯)
- Lemak:Fat(脂肪や脂質)
….を意味します。
直訳すると”fat rice”…という少し変な言葉になりますが、Lemakは濃くリッチな料理の風味を表現する時に使われる言葉でもあります。
つまり、Nasi Lemakの”Lemak”はココナッツミルクの油脂が持つ風味を表したものになります。
Nasi Lemakに、この”Lemak”があるかどうかは、Nasi Lemakの美味しさを決める重要な指標となり、美味しいお店のものはご飯にしっかりとした“Lemak感”があります。
ちなみに、Lemakという言葉はNasi Lemakだけではなく、「脂肪/脂質」という意味で使われることも、もちろんあります。
最もよく見かけるものは、栄養成分表示。
上記画像はココナッツミルク商品に掲載されている栄養成分表示で、マレー語と英語の2言語で表記があり、脂質を示す部分にLemakの文字があることがわかります。
Nasi Lemakの発音はナシレマ?ナシルマ?
Nasi Lemakは日本語でナシレマやナシルマと表記されていることが多いものの、正確にはLemakの「Le」の発音は日本語の「れ」や「る」の音とは異なります。
ナシレマとナシルマでは、ナシルマというカタカナ表記の方が本来の音に近いものの、口をすぼめて発音する日本語の「る」の音ではないという点が注意すべきポイントです。
「Le」の音は唇を横に広げて出す音になり、唇を横に広げつつ「u」という音を出す感じで発音します。
実際の音はナシラマとナシルマの中間のような音ですが、カタカナで正確な音を表記することが難しいので、正しい音はグーグル翻訳の音声機能を使って確認することをおすすめします。
ナシレマ(ナシルマ)の香りづけに使われる素材
Nasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)の香りづけに使われるメインの素材は、
- ココナッツミルク
- パンダンリーフ
- 生姜
…が基本で、あとは少量の塩を加えて味を整えます。
香りを豊かにする目的で、レモングラスを加えたり、赤玉ねぎまたはシャロット(エシャロット)を加えることもあります。
また、香りづけのためごく少量のフェヌグリークシードを入れるレシピもありますが、Nasi Dagangを作る時ほど多く入れず、あくまで少量を加える程度になります。
ココナッツミルク
Nasi Lemak(ナシレマ/ナシラマ)の味の決め手となるココナッツミルク。
ココナッツミルクは成熟したココナッツの固形胚乳から抽出されるもので、マレーシアでは新鮮なココナッツミルクを手軽に購入することができます。(スーパーでも販売されています。)
新鮮なココナッツミルクは香りが非常に良いです。
また、ココナッツミルクには超高温殺菌されたUHT商品もあり、常温で長期保存できる点がメリットです。(ただ、UHTのものでも開封すると傷みやすくなるため、開封後は数日で使い切るか冷凍保存する必要があります)
パンダン
パンダンリーフもNasi Lemak(ナシレマ/ナシラマ)に欠かせない素材です。
ご飯にほんのりとした良い香りを与えてくれます。
パンダンリーフ自体は、Nasi Lemakだけではなく、マレーシアの料理やお菓子に広く使われているものになります。
マレーシアの典型的なNasi Lemak
Nasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)に添える基本の素材は、
- 卵
- きゅうり
- アンチョビ&ピーナッツ
- サンバルソース
…になります。
これがデフォルトで、このまま食べるほか、好きなおかずを追加して食べる形が一般的です。
アンチョビはマレー語でIkan bilis(イカンビリス)と呼ばれています。
Nasi Lemakに添えるアンチョビは、油でカラッと揚げたものを使います。
Nasi Lemakの美味しさを左右するサンバルソース
唐辛子とスパイスで作るSambal Sauce(サンバルソース)。
お店によって甘みが強いもの、辛さが尖っているものなど、味が微妙に異なり、それぞれ特徴を持ちます。
美味しいお店のサンバルソースには辛いだけではなく、深い旨味があります。
サンバルソースはNasi Lemakの風味を引き立ててくれる影の主役です。
お土産におすすめのサンバルソース
Nasi Lemak Biasa(ナシルマビアサ)について
Nasi Lemakのお店でよく使われる言葉として「Nasi Lemak Biasa」があります。
Biasa(ビアサ)は、普通(ノーマルやベーシック)という意味を持つマレー語になります。
これはメインディッシュ(おかず)なしの、卵、きゅうり、アンチョビ&ピーナッツ、サンバルソースだけのベーシックなNasi Lemakを指します。
(ただし、お店によってBiasaの定義が異なり、卵やきゅうり、アンチョビ&ピーナッツなどがないケースもあります)
Nasi Lemakに定番のおかず
Nasi Lemakと一緒に食べるおかず。
色々なものがありますが、以下に定番のおかずについて紹介します。
鶏肉のおかず
大定番のおかずは鶏肉。
Ayam Goreng(アヤムゴレン)
鶏肉のおかずの大定番は、鶏唐揚げのAyam Goreng(アヤム ゴレン)。
サクサク&ジューシーの鶏の唐揚げがNasi Lemakによく合います。
揚げ物は大抵美味しいので、「おかずは何を選べば良い…?」と迷った時は、Ayamg Gorengを選ぶと無難です。
Chicken Rendang(チキンルンダン)/Rendang Ayam(ルンダンアヤム)
エシャロット、にんにく、生姜、ターメリック、ガランガル 、レモングラス、唐辛子などで作るスパイスペーストにターメリックリーフやコブミカンの葉、ココナッツミルク、ココナッツフレークを煮込んで作るChicken Rendang(チキンルンダン)。
Ayam Merah(アヤムメラ)
トマトを使うスパイシーなAyam Merah(アヤム メラ)。
マレー語のMerah(メラ)には「赤」という意味があります。
Curry Chicken(カリーチキン)
チキンカレーのCurry Chicken(カリーチキン)。
牛肉のおかず
Beef Rendang(ビーフルンダン)/Rendang Daging(ルンダンダギン)
長時間コトコト煮て作られる、インドネシアの西スマトラを起源とする料理のBeef Rendang(ビーフルンダン)。
Rendang(ルンダン)料理としては、ビーフ(Daging/ダギン)またはチキン(Ayam/ アヤム)が定番になります。
Paru(パル)
Paru(パル)と呼ばれる牛の肺を炒めたParu Goreng(パルゴレン)も、Nasi Lemakのおかずの1つとしてよく目にします。
見た目が黒っぽい色をしているので、「怖い…」と感じてしまうかもしれませんが、臭みはなく、柔らかい食感で、見た目に反して美味しい料理です。
サンバルと一緒に調理されることが多いことから、Sambal Paru(サンバルパル)として販売されていることもあります。
魚介類のおかず
魚介類は、魚のほか、海老・イカ・貝があります。
Sambal Udang(サンバルウダン)
魚介類の定番は海老(Udang・ウダン)やイカ(Sotong・ソトン)。
サンバルソースで味つけしたSambal Udang(サンバルウダン)やSambal Sotong(サンバルソトン)が人気です。
Kerang(ザルガイ)
Kerang(英語ではCockles)と呼ばれる貝(ザルガイ)もよくあります。
そのほかのおかず
大豆にテンペ菌を加えて作る発酵食品のTempeh(テンペ)があるお店もあります。
覚えておくと良い言葉
上記画像はクアラルンプールにあるNasi Lemak Wanjoというお店のメニューになります。
Nasi Lemak Biasaのほか、Lauk(おかず)のメニューに、Ayam Goreng、Ayam Rendang、Ayam Merahなど、上記で紹介した定番のおかずが揃っています。
上記のメニューには英語表記もありますが、Ayam(アヤム)やDaging(ダギン)というキーワードを覚えておくだけでも、「この料理にはこんな肉が使われているんだな…」と役立つことがあるといます。
ナシレマ(ナシルマ)の種類
お持ち帰り用のNasi Lemakのほか、ニョニャ系、中華系、インド系など、様々な種類のNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)がマレーシアにあります。
お持ち帰り用に包まれたNasi Lemak Bungkus
お持ち帰り用に事前に包まれたNasi Lemak。
Nasi Lemak Bungkusと呼ばれています。
ニョニャスタイルのNasi Lemak
ニョニャ式のNasi Lemak。
タマリンドで味つけした魚のAsam Fish(アッサムフィッシュ)やエビのAsam Prawn(アッサムプローン)がつけ合わせになっているところが特徴です。
ニョニャスタイルのNasi Lemakはどこにでもあるものではなく、ニョニャレストランで提供していることが多いです。
上記画像のNasi Lemakは、ペナンにあるMoh Teng Pheow Nyonya Koayというニョニャクエの老舗で販売しているものになります。
中華系やインド系のNasi Lemak
Nasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)と言えば、マレー系の人が経営するお店が多いものの、マレーシアには中華系の人やインド系の人が経営するNasi Lemakのお店もあります。
もっと細かく言うと、インド系イスラム教徒のMamak(ママッ)のお店でもNasi Lemakを販売していることがよくあり、多民族国家であるマレーシアらしく、色々なNasi Lemakがあります。
イスラム教徒の人が経営するお店では取り扱いがないものですが、非イスラム教徒の人のお店で取り扱っていることがあるおかずは豚肉やイノシシ肉(Wild boar)。
豚肉を提供しているNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)のお店はノンハラールであるため、イスラム教徒のお客さんが利用することはありません。
また、イノシシ肉(Wild boar)を看板メニューにしているNasi Lemakのお店もあります。(ただ、全体的な数としては少なめです)
クアラルンプールだと、Nasi Lemak Peel RoadやAnn Nasi Lemakなどが中華系のNasi Lemakのお店として有名です。
Nasi Lemak Peel Roadはイノシシ肉の取り扱いがあります。
また、インド系の人が経営するお店のNasi Lemakは、牛肉のおかずがないケースが多く、マトンのおかずがあることがあります。
パンダンで色づけたご飯を使ったNasi Lemak
Nasi Lemak=白いご飯
…が基本ですが、ご飯の色づけにPandan(パンダン)を使っているものもたまにあります。
ただ、Pandan(パンダン)はご飯の香りづけに使うことの方が大半で、緑色のココナッツライスを目にすることはそれほど多くないと思います。
上記画像のNasi Lemak PandanはNyonya Colorsのものになります。
まとめ
ココナッツライスの良い香りにサンバルソースの甘辛い旨み、そして各種おかずを組み合わせることができるNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)。
マレーシアを代表する料理の1つで、マレーシアに遊びに来たら、必ず食べたいグルメです。
以上、マレーシアのNasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)についての紹介でした!
マレーシア東海岸の料理にNasi Kukus(ナシククス)というものがありますが、これは蒸して作られた白いご飯(Steamed Rice)になり、Nasi Lemak(ナシレマ/ナシルマ)とは異なるものになります。