春節(中国旧正月)を祝う文化を持つ国や地域は中国以外にもたくさんあり、華人が多いマレーシアでも春節は重要な祝祭日の1つとして位置づけられています。
春節に定番の食べ物は色々なものがありますが、クッキーをはじめとしたお菓子も欠かすことのできないアイテムです。
この記事ではマレーシアの春節に食べるクッキー&お菓子の種類と特徴について紹介します。
マレーシアの春節に食べるクッキーやお菓子
春節前になると、スーパー、ショッピングモール、市場、コピティアムなどで数々のクッキーやスナック菓子が山積みになって販売されるようになります。
これらのお菓子は、お正月の間に自宅を訪れる客人に振る舞ったり、自分たちで食べたり、一部のクッキーは神様やご先祖様にお供えするものもあります。
大抵は赤い蓋のプラスチック容器に入れて販売されています。
「福」のマークをつけて販売されているケースも多いです。
春節に食べるクッキーはお店で購入する人もいれば、家庭で手作りする人もいます。(ただ、非常に手間がかかるクッキーもあるので、簡単に作れるものは手作りして、手間がかかるものは購入する…という家庭もあります。)
クッキーの価格
マレーシアにおける一般的な春節用のクッキー商品の価格は、RM20〜RM30程度。
(為替レートにもよりますが、日本円に換算すると600円〜900円前後)
ショッピングモール内で販売されているブランド店の商品で綺麗にパッケージされているものは、RM40以上など価格が高くなりますが、シンプルなプラスチックの容器に入っている一般的な商品は手頃な値段で購入できます。
以下にマレーシアの春節で定番のクッキー(ビスケット)の種類について紹介します。
Pineapple Tarts(パイナップルタルト)
定番人気はパイナップルタルト。
しっかりとしたバター(またはマーガリン)の風味に、甘酸っぱいパイナップル餡(パイナップルジャム)が美味しいお菓子です。
Kuih Kapit(クエ カピッ)
サクサク食感のKuih Kapit(クエ カピッ)。
英語ではLove Letters(ラブレター)と呼ばれています。
マレーシアの旧正月に欠かせない伝統的なビスケットの1つです。
Kuih Bangkit(クエバンキッ)
口のなかに入れると溶けるような食感を持つKuih Bangkit(クエ バンキッ)。
タピオカ粉(またはサゴフラワー)やココナッツミルクを使って作られる素朴な味のお菓子で、独特の食感と口溶け感が、ほかのクッキーにはないKuih Bagnkitの特徴です。
Kuih Bangkitには白いクッキーのほか、普通のクッキーのような色味のKuih Bangkitもあります。
また、Kuih Bangkit用の型(モールド)は花や魚(金魚)など様々なものがあり、クッキーの形状もバラエティに富みます。
Peanut Cookies(ピーナッツクッキー)
中国語で花生餅と呼ばれるピーナッツクッキーも旧正月によく食べます。
香ばしく、ホロホロとした食感のお菓子です。
また、ピーナッツを使ったお菓子には花生糖(Peanut Candy)もあります。
Kuih Bahulu(クエバフル)
Kuih Bahulu(クエ バフル)は、小麦粉、砂糖、卵、ベーキングパウダーを使って作るエッグスポンジケーキです。
中華系の人がチャイニーズニューイヤーで食べるほか、マレー系(イスラム系)の人はハリラヤで食べることが多く、マレーシアのフェスティブシーズンに定番のお菓子です。
Kuih Bahuluを作る型(モールド)には花・魚・貝殻など、様々な形状のものがあります。
春節によく使う有名な中国の成語の1つとして、
「年年有餘(Nián nián yǒuyú)」
…という言葉があります。
余りある、またはゆとりある暮らすことができることを願って使う言葉で、余りを意味する餘(yú)の発音が中国語の魚(yú)の発音と同じであることから、魚は縁起物とされています。
そのため、春節(旧正月)には魚の形をしたKuih Bahuluも目にするようになります。
Honeycomb Cookies(ハニーコムクッキー)
蜂の巣のような形をしたHoneycomb Cookies(ハニーコムクッキー)<またはBeehive Cookies>。
中国語では蜂巢餅や蜂窩餅、マレー語ではKuih Loyangと呼んだり、花のような形状からKuih Ros(Kuih Rose)と呼ばれることもあります。
クッキーと呼ばれているものの、実際は油で揚げたスナック菓子です。
マレーシアのハニーコムクッキーはココナッツミルクや米粉を使って作られている、甘くてサクサク食感のお菓子になります。
類似したお菓子はヨーロッパやインドなど、世界の色々なところにあります。
Dragon Cookies(ドラゴンクッキー)
たっぷりのバター(またはマーガリン)を使って作るDragon Cookies(ドラゴンクッキー)。
龍のように見える形状から、ドラゴンクッキーと名づけられているお菓子で、中国語で龍餅と呼んでいるバタークッキーになります。
ウネウネとした形は、時に青虫や毛虫のようにも見えることもあります。
Kuih Dahlia(クエ ダリア)
バタークッキーの上に、ドライチェリーを乗せたKuih Dahlia(クエ ダリア)。
ダリアの花のように見えることからKuih Dahliaと名づけられたお菓子で、バタークッキーの1種になります。
ハリラヤをはじめ、旧正月などマレーシアのフェスティブシーズンによく見かけるクッキーです。
別名でKuih Semperitと呼ばれることもあります。
牛油菊花酥(バターローズクッキー)
バターローズクッキーの牛油菊花酥。
クエダリアと似ているものの、しっかりとしたバターの風味があるクエダリアよりも、ライトな味わいで美味しいです。
Arrowhead Chips(アローヘッドチップス)
クッキーのような焼き菓子だけではなく、油で揚げたチップス系のスナック菓子も春節のお菓子としてよく食べます。
チップス系の定番はArrowhead Chips(アローヘッドチップス)。
Arrowhead(アローヘッド)は中国語で慈菇と呼ばれる植物で、日本語ではクワイと呼ばれています。
慈菇をスライスして油で揚げたチップスがArrowhead Chipsで、普通のポテトチップスよりも美味しいです。
また、普通のポテトチップスを食べることもあります。
チップス系ではレンコンのチップスもあります。
スナック系のお菓子では、上記で紹介したチップスのほか、Muruku(ムルク)を食べることもあります。
Muruku(ムルク)はインド発祥のスナック菓子ですが、マレーシアで広く食べられていて、旧正月に食べるスナック菓子の1つとして購入する家庭も少なくありません。
チャイニーズニューイヤーに用いるお餅やお菓子
祭祀の際に、神様やご先祖様へのお供えものに使う定番のお餅やお菓子がいくつかあります。
例えば…
- 紅龜粿
- 發粿(發糕)
- 年糕
發粿(發糕)<簡体字では发粿または发糕>は蒸して作るお菓子で、ケーキが膨らんでパカッと割れた形状が特徴の蒸しケーキです。
中国語の新年の挨拶で「新年快樂!恭喜發財!」というフレーズが定番ですが、「發」は「發財」をはじめ縁起の良い言葉とされ、發粿(發糕)が春節に用いられる理由もその縁起の良い意味にあります。
發粿(發糕)にはいくつかのカラーがありますが、お供えにはピンクで色づけしたものをよく使います。
上記画像の粿(發糕)は食べる用ではなく、お供え用のものになります。
元宵節に食べる湯圓(タンユエン)
元旦(旧暦の1月1日)から数えて15日目にあたる、旧暦1月15日は元宵節と呼ばれています。
年が明けてからはじめてむかえる満月の日となり、春節の終わりとなる区切りの日になります。
一般的に中華系の人々は元宵節に湯圓(または元宵)というお餅のデザートを食べます。
湯圓自体は元宵節のほか、冬至に欠かせない食べ物です。
ペナンのプラナカン&福建の人はボボチャチャを食べる
ペナンでは、元宵節のことを福建語で十五暝(Chap Goh Meh・ジャップゴーメー)と呼んでいて、ペナンのプラナカンや福建系の人は十五暝(Chap Goh Meh)に湯圓ではなく、Bubur Cha Cha(ボボチャチャ)というココナッツミルクベースのデザートを食べるユニークな習慣があります。
まとめ
マレーシアの春節(旧正月)に食べるお菓子は中国系のものから、西洋の影響を受けたもの、プラナカン、マレー、インドなど、多民族国家であるマレーシアらしい様々なルーツをもつバラエティ豊かなお菓子があります。
また、パイナップルタルトのように比較的年中手に入れやすいものから、春節の時期にならないとあまり見かけないものまで色々なものがあります。
- Kuih Kapit
- Kuih Bangkit
- ピーナッツクッキー
…このあたりは旧正月の時期に出回る特別なお菓子であり、昔から食べられている伝統的なクッキーであるため、機会があれば購入してみることをおすすめします。
特にKuih Kapitはおすすめです。
以上、マレーシアの春節(中国旧正月)に食べるお菓子についての紹介でした!