甘酸っぱいパイナップルジャムとペイストリーから漂う豊かなバター(マーガリン)の風味を堪能できるマレーシアのパイナップルタルト。
一つ口にしたら、さらにもう1つ…と、ついつい手がのびてしまう癖になる美味しさを持つお菓子です。
この記事ではマレーシアのパイナップルタルトの歴史と特徴について、台湾のパイナップルケーキとの比較を織り混ぜながら紹介します。
目次
マレーシアのパイナップルタルトとは?
マレーシアの様々なフェスティブシーズンに欠かせないパイナップルタルト。
パイナップルタルトを目にすることが多い代表的なイベントとしては、中華系の人が新年を祝う春節(中国旧正月)。
一方、マレーシアのマレー系(イスラム教徒)の人もラマダン(断食)の終了を祝うハリラヤで食べるお菓子の1つとしてパイナップルタルトを用いることが多く、マレーシアにおける様々な祭事の際に広く食べられているお菓子になります。
マレーシアのパイナップルタルトはマラッカで生まれた?
マレーシアの古都であるマラッカはパイナップルケーキがお土産として有名なのですが、マレーシアのパイナップルタルトはマラッカが発祥の地である言われています。
その歴史はポルトガルがマラッカを植民地していた時代にまで遡り、マラッカのプラナカンの女性(ニョニャ)たちがポルトガルのペイストリーのレシピを取り入れて作ったものがマレーシアのパイナップルタルトのはじまりという説があります。
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マレーシアのパイナップルタルトの形状と特徴
マレーシアのパイナップルタルトには、
- ロール型
- 丸型
- オープン型
…など、複数の形状があります。
パイナップル餡(パイナップルジャム)をペイストリー生地で巻いたロール型。
ホロホロっとする食感が特徴です。
パイナップルジャムを生地で包み込んだ丸型のパイナップルタルト。
花のような形をしたオープン型のパイナップルタルトはプラナカン(ニョニャ)の伝統的なものになります。
また、中央部分に格子のような飾りがあるものもニョニャのパイナップルタルトの象徴になります。
伝統的なニョニャのパイナップルタルトのペイストリー生地には、バターではなくマーガリンが使われています。
ただ、一般的なパイナップルタルトはバターを使っているレシピ&商品が多いと言えます。
パイナップルジャムの特徴
マレーシアのパイナップルタルトに使われるパイナップルジャムは、生のパイナップルから作られています。
パイナップルに砂糖を加え、じっくり煮詰めてキャラメル化させることで黄色から深いオレンジ味に変化します。
しっかり煮詰めたパイナップルジャムは、より濃い色をしています。
パイナップルジャムにスパイスで風味づけする
シナモン、スターアニス(八角)、クローブ(チョウジ)などのスパイスを加えてパイナップルジャムに風味づけすることもマレーシアのパイナップルタルトに使われるパイナップルジャムの特徴です。
ただ、パイナップルタルトを食べていて、パイナップルジャムのスパイスの香りが強いと感じることはあまりないので、スパイスの匂いが苦手という場合でもあまり気にする必要はありません。
縁起物のパイナップル
一般的に、パイナップルは中国&香港では「菠蘿」、台湾では「鳳梨」、マレーシアやシンガポールでは「黄梨」という漢字を使います。
黄梨は標準中国語の発音ではHauáng líになりますが、閩南語(マレーシアで使われている方言としては福建語)でOng Lai(オンライ)と発音します。
このオンライという音が、良いことが来るという意味を持つ「旺來」という言葉の閩南語(福建語)の発音と同じ音であることから、マレーシアの中華系の人の間(特に福建コミュニティ)でパイナップルは縁起物の象徴として位置づけられています。
パイナップルタルトがマレーシアの春節に好んで食べられている理由もパイナップル=縁起物という面があるからであり、生のパイナップルは神様やご先祖様へのお供えものに用いられる果物として使われています。
台湾のパイナップルケーキとどう違う?
パイナップルが使われたお菓子と言うと、台湾のパイナップルケーキを思い浮かべる人が多いかもしれません。
パイナップルケーキは台湾で「鳳梨酥」と呼ばれていて、標準語の発音でフォンリースー、台湾語の発音でオンライソーと言います。(台湾語もマレーシアやシンガポールで使われている福建語も閩南語であり、パイナップルの発音は同じオンライです。)
台湾のパイナップルケーキはマレーシアのパイナップルタルトと類似する点があるものの、少々異なります。
形状&大きさの違い
台湾のパイナップルケーキは正方形や長方形など四角い形状が多く、パイナップル餡を完全に包み込む形をしています。
大きさに関しては、マレーシアのパイナップルタルトは一口サイズの小さめなものが多い一方、台湾のパイナップルケーキは一口サイズよりも大きめです。(価格が高いパイナップルケーキになると、大きくてかなりボリュームがあります。)
ペイストリー生地については、台湾もマレーシアもホロホロ感などの食感はお店によって多少異なるので、比較をすることは難しいものがあるものの、バターの豊かな香りは共通しています。
パイナップル餡の違い
伝統的な台湾のパイナップルケーキは、パイナップルと冬瓜をミックスした餡を使っているものが多いところが特徴です。
パイナップル餡100%をセールスポイントにして「質の高いパイナップルケーキ」として販売している台湾のパイナップルケーキもたくさんありますが、昔ながらのお店のパイナップルケーキや安い価格のパイナップルケーキは冬瓜を使っているものが多いと言えます。
一方、マレーシアのパイナップルタルトの餡は、先述したようにスパイス類で風味づけするのみで、パイナップル100%で作られています。
餡のバリエーションの違い
台湾のパイナップルケーキのなかには、クランベリージャムなどパイナップル餡以外を使うユニークなアレンジ商品もありますが、マレーシアのパイナップルタルトはアレンジ品はほとんどなく、昔ながらのレシピに沿ったパイナップルジャムのみです。
パッケージの違い
味や風味に関係ありませんが、台湾のパイナップルケーキとマレーシアのパイナップルタルトのパッケージには大きな違いがあります。
台湾のパイナップルケーキは贈答品やお土産に定番の商品であるため、1つ1つのケーキが個装され、綺麗な箱に入っているものが多い傾向にあります。
マレーシアのパイナップルケーキは個装されているものはなく、シンプルなプラスチックの容器に入れて販売されていることがほとんどです。
また、台湾のパイナップルケーキはお店によってばら売りしていて、1個単位から購入できるケースがありますが、マレーシアのパイナップルタルトは1個単位で販売するケースはほとんどと言っていいほどありません。
価格の違い
台湾のパイナップルケーキとマレーシアのパイナップルタルトは大きさが異なり、包装形態も異なるので、単純比較することは難しいものの、価格の面でも大きな違いがあります。
台湾のパイナップルケーキ1個あたりの価格はお店によって異なり、安いものでNT$18程度、高いものではNT$40程度します。
平均価格としては1個あたりNT$30(イメージとしては日本円で100円前後)で、箱入りの商品になると12個入りのものが多く、NT$400以上の価格になります。(日本円価格は為替レートにより変動しますが、1箱あたり1,200円〜1,500円はします。)
一方、マレーシアの一般的なパイナップルタルト商品は20個以上入っているものが多く、価格はRM20程度、高いところでRM30というイメージです。
日本円に換算すると、1パックあたり500円〜800円程度になります。
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パイナップルタルトはマレーシアのどこで買える?
マレーシアにおいて、パイナップルタルトが一番数多く出回る時期は春節(旧正月)の前になります。
チャイニーズニューイヤーが近づくと、伝統菓子を販売するお店、スーパー、ショッピングモールの特設会場、コピティアム、朝市&夜市、ベーカリーなど、様々な場所でパイナップルタルトを見かけるようになります。
また、ハリラヤをはじめ、マレーシアで重要な祭事の前にもパイナップルタルトが色々な場所で販売されるようになります。
プラナカン式のパイナップルタルトが有名なマラッカでは、祭事に関わらず年中パイナップルタルトを販売しているお店が多いので、マラッカに遊びに行く機会があれば当地で購入する形もおすすめです。
マラッカで購入する場合、Bee Bee Pineapple Tart Houseというお店がおすすめです。
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まとめ
パイナップルとペイストリーの旨みがつまったマレーシアのパイナップルタルト。
台湾のパイナップルケーキとは一味異なる美味しさを持つお菓子です。
以上、マレーシアのパイナップルタルトについての紹介でした!
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