寒くなると、薬膳料理を食べて体の芯から温まりたいと思うことがあります。
台湾には冬の定番料理というものがいくつかあり、鍋料理を中心に体を温める料理がよく食べられていますが、冷え性であったり、体の不調に悩む方には薬膳料理がおすすめです。
この記事では台北にある漢方薬店が営む薬膳料理のお店の正一堂についてご紹介します。
目次
薬膳料理を提供する台湾の正一堂
正一堂は1964年に漢方薬店として創業し、50年以上の歴史があるお店です。
正一堂の近くには花博の跡地である花博公園があります。
漢方薬専門店が薬膳料理も提供するようになった背景
漢方薬専門店がなぜ同店舗内で薬膳料理を提供することになったのか?
転機は2010年に台北で開催された花博。
政府からの依頼によって考案された
花博開催に備えて、かつて台北市政府がこのエリア一帯の整備を進めました。
同時に、台北市政府からこの地域の商店に対して、花博を訪れる観光客を惹きつける施策を行って欲しいという依頼があったそうです。
それを受けて、正一堂の二代目である林正川さんや林正川さんの奥さんが、従来の漢方薬店にレストランを併設する形を考案、漢方薬販売の傍ら薬膳料理を提供するという現在のスタイルを確立しています。
手前がレストランのスペースで、奥にある場所で漢方薬の販売をしています。
正一堂のメニュー
豚肉、鶏肉、魚の他、アワビやホタテ入りなど色々な具材が入ったスープがあります。
セットメニューは、メインのスープに、雑穀米または麺線、そして野菜の付け合わせという内容になっています。
また、産後の滋養食や冬によく食べられている麻油雞(マーヨウジー)もあります。
セットメニューの注文方法
それほど難しいものではないのですが、下記に簡単に注文の流れについて紹介します。
注文ステップ①:具材を選ぶ
上のメニュー表から好きな具材が入ったものを選びます。
注文ステップ②:スープを選ぶ
ベースとなるスープを選びます。
麻油雞以外のスープは以下のものから選ぶことができます。
- 十全加味
- 四物加味
- 人蔘養氣
- 涼補元氣
それぞれ異なる漢方成分が配合されていて効能が異なります。
各テーブルに各ベースとなるスープの漢方成分や特徴・効能が記載されたものがあるので、それを参考に自分の症状に合ったものを選ぶか、お店の方に相談しながら決める形が良いと思います。
効能に関しては、貧血、生理前症候群、産前産後の滋養、風邪など、色々なものがあります。
注文ステップ③:付け合わせのセットを選ぶ
雑穀米または麺線から選ぶことができます。
麺線に関しては、香椿麵線から香菇麵線(キノコ入り麺線)に変更することも可能です。
お店の前に日本語のメニューがありました。こちらも参考になると思います。
正一堂のおすすめメニュー
お店の方に聞いたところ、おすすめは「干貝鮑魚雞」と「雞胇」ということだったので、この2つを注文してみました。
こちらが干貝鮑魚雞のセット。
スープは十全を選びました。
鶏肉の他、ホタテやアワビが入っています。
正一堂で提供されるスープは漢方薬だけで作り、化学調味料はもちろんのこと、塩さえも加えられていません。
香椿麵線。
上に乗っている緑色のペーストは香椿という植物で作られているのですが、この香椿はお店が自家栽培しているものになります。
香椿の鼻に抜ける香りが良く、今まで食べたことのない新しい麺線を味わうことができました。
バジルペーストのようなフレッシュで芳香な風味で、麺線によくマッチしていました。
雑穀米。
付け合わせの野菜もとても美味しいです。
シンプルで自然な美味しさを堪能することができます。
もう一つのおすすめメニューと言われた雞胇(ジーフォー)。
スープは四物を選びました。
この雞胇、実は注文する前にどんなものであるのかいまいちわからないまま注文してしまったのですが、注文した後に調べて、「あっ、しまった!」と感じてしまいました。
雞胇は鶏の白子バージョンです。
珍味の雞胇
後日、台湾人の友達に聞いてみたら、「雞胇は珍味でお肌に良いよ」と言っていましたが、「えっ!雞胇食べたの?笑」と、失笑する人もいたり、色々な反応がありました。
台湾では雞胇以外にも、鶏のおしりの部分を珍味として食べることがあり、昔は家長や年長者しか食べることができなかったそうです。
雞胇自体は無味無臭で、特にクセはないのですが、お値段が結構するので、もっとシンプルなものを注文しても良かったかなと思いました。
一言アドバイス
今回は十全と四物のスープを選びましたが、十全の方が若干濃い風味になっているものの、どちらも同じ系統の味で、しっかりとした漢方の味があります。
薬膳料理が好きな方は問題なくいただくことができると思いますが、慣れていないと癖があると感じてしまう方がいるかもしれません。
その場合はもう少しあっさりとした人蔘や涼補などクリアスープに近いものを選ぶと良いかもしれせん。迷ったら、お店の方に相談してみてください。
漢方薬の購入に興味がある方は・・・
漢方薬に興味がある方は正一堂での購入を検討してみても良いかもしれません。
正一堂について紹介されていたテレビ番組の中で、「どうして正一堂で漢方薬を購入するのですか?」というテレビ局側の質問に対し、常連のお客さんが迷うことなく「新鮮だから!」と答えていました。
正一堂は漢方薬販売の傍ら、薬膳料理のレストラン経営もしているため、毎日大量の漢方薬を消費しています。
これが意味することは、漢方薬材の回転率がとても良いということです。
お客さんで賑わっていない漢方薬専門店では、古い在庫を抱えているケースも考えられます。そういうことを考えると、常連のお客さんのコメントに「なるほどな」と感じるものがありました。
正一堂のロケーション
住所:台北市大同區哈密街118號
MRT圓山駅が最寄駅です。
駅から少し距離があり、徒歩で10分以上かかります。
大龍街夜市という夜市や台北孔子廟の近くにお店があります。
正一堂近くの観光スポット
正一堂の近くには観光スポットである台北孔子廟があります。
昼間の姿とは異なり、夜はとても幻想的です。
まとめ
正一堂で提供される料理はどれも自然で優しい味がします。
自然なものが好きな人、体に優しいものが好きな人におすすめできる場所です。
反対に、濃い味付けや、こってりしたものや油っぽいものが好きな人、化学調味料がたくさん使われた料理に慣れてしまっていると物足りなさを感じてしまうかもしれません。
漢方に興味があったり、薬膳料理が食べてみたいという場合は、正一堂に足を運んでみてください。
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