クアラルンプールのチャイナタウンにある老舗コピティアムとして有名な何九海南茶店。
2018年11月、その伝統あるコピティアムが昔から商売を続けていた店舗を離れ、すぐ近くに新しいお店をオープンし、多くのお客さんを惹きつける大人気スポットになっています。
この記事では世代を超えて古き良き伝統の味を守り続ける何九海南茶店の歴史に触れつつ、おすすめメニューやアクセス方法について紹介します。
チャイナタウンにある何九海南茶店とは?
何九海南茶店の始まりは1956年。
世代を超えて67年以上の歴史を持つお店、それが何九海南茶店(Ho Kow Hainam Kopitiam)です。
何九海南茶店の由来と歴史
店名にある何九(Ho Kow)はオーナーの名前です。
元々は中国・海南島からマレーシアに渡ってきた何九さんのお父さんがはじめたお店で、当初はお父さんの名前を取った信記(Soon Kee)という店名でした。
のちに、何九さんがお父さんからお店を受け継いだことをきっかけに、自身の名前である何九(Ho Kow)に店名を変更したという経緯があります。
4世代に引き継がれるKopitiam
第1世代は何九さんのお父さん、第2世代は何九さん。
そして、幼い頃から祖父や父が経営するお店を手伝い、海南コピティアム独特のコーヒー焙煎&抽出技術を引き継いだ何九さんの娘さんである何淑珍(Ho Sook Chan)さんが第3代目となり、現在は何淑珍さんを中心に経営しています。
また、何九さんのお孫さんたちもお店を手伝い、4世代に渡って伝統の味を守っています。
レトロ感を強調する店内のインテリアや店内で販売している商品のデザインなど、若い世代のアイディアが盛り込まれていると感じるものが多く、伝統あるコピティアムにどこか新しさを感じることができます。
2018年11月に店舗を新装オープン
元々はチャイナタウンのLorong Panggungにあった何九海南茶店。
長い歴史を持つお店を閉鎖して、Lorong Panggungと目と鼻の先にあるJalan Balai Polisに店舗を新装オープンしました。
長年に渡りそれまで商売をしていた場所から新店舗に移転した背景には、
地主の都合で立ち退きを余儀なくされた…
という理由によるものになりますが、新しい店舗はレトロ感がありつつも清潔感があり、とりわけ旅行客も利用しやすい環境になっています。
オープン以来、現在に至るまでお店の前に人だかりができる人気店になっています。いつ行ってもすごい人でびっくりします。
何九さんの温かさに触れることができる
お店の中でニコニコしながら接客をしているかわいいおじいちゃん、それが何九さんです。
リニューアルオープン当初の忙しい時期にもお店に立ち、
请慢用(ごゆっくりお召し上がりください)
…と優しく声をかけて、テーブルに料理を運んでくれました。
お客さんの中には「一緒に写真を撮ってください!」と言って記念撮影している方もいて、お店のアイコン的存在です。
Ho Kow Hainam Kopitiamの以前の姿
以前の何九海南茶店の姿を知りたい、そんな時に適したとても良い動画があります。
この動画に出てくる方が何九(Ho Kow)さんです。
動画を見ていただくと、古いお店の雰囲気であったり、いかに常連客に愛されていたお店であったのかということがわかります。
旧店舗があった場所は新しい観光スポットに
何九海南茶店の旧店舗があったLorong Panggungは、通称、広東語で鬼仔巷(Kwai Chai Hong)と呼ばれる場所になります。
廃れつつあったエリアであったものの、再開発が行われ注目を集めるエリアに変化を遂げました。
このエリアのハイライトは、鬼仔巷のストリートアート。
フォトスポットとして人気の場所であるため、何九海南茶店に足を運ぶ時は、ぜひ一緒に立ち寄ってみてください。
Ho Kow Hainam Kopitiamのメニュー
何九海南茶店はメニューがかわいい!ということも特筆すべきポイントです。
新聞デザインになっています。
一番はじめのページには何九海南茶店の歴史のほか、中国の海南島からマレーシアに渡ってきた海南の人々が英国人の役人たちのシェフやキッチンハンドとして働いていたこと、それにより数々のフュージョン料理が誕生したことなど、海南の人々のマレーシアにおける歴史が記載されています。
また、マレー半島に渡った海南の人々が生み出したカヤジャムやカヤトースト、その独特のコーヒー焙煎方法などについても説明されています。
お店で待ち時間が発生した時はこちらの「新聞」に目を通して、歴史について学んでみても面白いと思います。
パンと卵
定番人気のカヤトースト(Kaya Toast)。
パンはこんがり焼き上げたもの、蒸したものを選択することができます。
こちらもパンのメニュー。
クロワッサンなどのほか、カヤトーストなどのパンを食べる時にディップする半熟卵(温泉卵)のsoft boiled eggもあります。
点心メニュー
各種点心。
朝食メニュー
炒米粉(ビーフン炒め)、Nasi Lemak(ココナッツライス)、カレー味の猪腸粉(チーチョンファン)などがあります。
シェフのおすすめメニュー
海南チキンライス。
メニューには10時以降から注文可能と記載されています。
オールディメニュー
Nasi Lemak Chicken Curry(ナシルマ チキンカレー)の他、スープ麺があります。
Nasi Lemakは早い時間帯に売り切れてしまうこともある人気メニューです。
日替わりランチメニュー
曜日ごとに変わる日替わりランチメニューに関してはお昼の12時以降からの対応となっています。
こちらも日替わりメニューの続きです。
木曜日と金曜日のメニューが掲載されています。
スープ系デザートメニュー
Bubur Cha Cha(ボボチャチャ)など、マレーシアで定番の糖水が揃っています。
デザートメニュー
メニューの上部にあるデザートは月〜日までの日替わりデザート、下部にあるデザートは伝統菓子のKuih(クエ)です。
ドリンクメニュー
Kopitiam(コピティアム)で定番のKopi(コピ)、Teh(テー)などが揃っています。
看板ドリンクは海南茶。
これは香港でよく飲まれている鴛鴦というドリンクに似たようなもので、マレーシアでは福建語でミックスを意味するCham(チャム)と呼ばれることもあります。
上記のほかにも、罗汉果(ルオハングオ)、龍眼とナツメのドリンク、菊花とゴジベリーのドリンクなど、体に優しいドリンクが揃っています。
何九海南茶店で食べるおすすめグルメ
何九海南茶店にはたくさんのメニューがありますが、その中から一部のグルメについて紹介します。
海南茶・Cham(チャム)
海南茶のCham(チャム)。
Cham(チャム)はマレーシアに来たら、ぜひ注文して欲しいドリンクです。
何九海南茶店のChamはコーヒー&紅茶のブレンドに、コンデンスミルクとエバミルクを加えて作られています。
Kopi(コピ)
マレーシアのコピティアムのコーヒーは、日本で飲む一般的なコーヒーとは異なり、独特の濃厚さと香りが特徴です。
単純に「Kopi(コピ)」で注文すると、コンデンスミルクとエバミルクが入ったコーヒーが出てきます。
また、Kopi Cはエバミルクと砂糖入りのコーヒー、Kopi Oは砂糖入りのブラックコーヒーになります。
Kopi、Kopi C、Kopi Oはマレーシアのコピティアムで一般的なドリンクの種類で、それぞれ特徴があるので、好みのものを選ぶ形がおすすめです。
Kaya Toast(カヤトースト)
バタ&カヤトースト(Butter & Kata Toast)。
何九海南店のカヤトーストには、カヤジャムだけのもの(Kaya Toast)、カヤ+マーガリン(Margerine & Kaya Toast)というように色々なものがあります。
また、マーガリン+砂糖のMargarine & Sugar Toastもあります。
カヤトーストは半熟卵(温泉卵)を一緒に注文して、卵にディップして食べるという方法が定番です。
半熟卵がパンの上に乗ったトーストセットもありますが、パンとトーストを別々に注文する形の方がおすすめです。
咖喱+生熟蛋烤面包(Half Boiled Egg Curry Banjir Toast)。
カレーソースつきのパンと半熟卵のセットになります。
Butter & Kaya Bun(バター&カヤバン)
バター&カヤバン(Butter & Kaya Bun)。
バンズにカヤとバターをサンドしたカヤバンもカヤトーストのようにマレーシアで定番の朝食メニューです。
カヤジャムやパン(食パンとバンズ)は店内でも販売しているので、別途購入することで自宅でカヤトーストを作ることができます。
クロワッサン
パン系メニューにはクロワッサンもあり、なかのフィリングはバター&カヤ、ターキーハム&卵などから好きなものを選ぶことができます。
炒米粉(ビーフン炒め)
Nasi Lemak(ココナッツライス)と共に、マレーシアの定番朝食メニューと言えば、炒米粉。
ビーフンを炒めたとてもシンプルな料理で美味しいです。
炒米粉のほか、炒麺(チャオメン)もあります。
茨厂街虾米咖喱猪肠粉(カレーチーチョンファン)
猪肠粉(チーチョンファン)は香港の点心でお馴染みの食べ物の一つですが、マレーシアで食べる猪腸粉には色々なものがあり、何九海南茶店で提供しているチーチョンファンはクアラルンプールスタイルのカレーソース猪肠粉になります。
ツルツルとした食感が特徴で美味しいです。
カレー系メニューが美味しい
何九海南茶店はカレーが美味しいので、カレー系メニューはハズレが少ないです。
カレーが使われたメニューは、カレー豬腸粉のほか、招牌黃金干咖哩雞(Dried Chicken Curry)、咖喱雞椰漿飯(Nasi Lemak Chicken Curry)のほか、 チキンカレーとパンのセットなどがあります。
招牌黃金干咖哩雞(Dried Chicken Curry)。
上記画像のDried Chicken Curryはお持ち帰りしたものなので、チキンカレーがかかっていない状態のものになりますが、チキンカレーをミックスして食べると美味しいです。
中国語の「招牌」という言葉は看板メニューという意味があり、お店のおすすめメニューになるので、メニュー選びに悩んだ時は、招牌を書かれたものから選ぶ形も1つの方法です。
Nai Lemak(ココナッツライス)
マレーシアの国民食と言えるココナッツライスのNasi Lemak。
何九海南茶店のNasi LemakはTraditional Nasi Lemakのほか、フライドチキンがセットになったもの、チキンカレーがセットになったものがあります。
紅亀粿などのKuih(クエ)
上記画像は紅亀粿(アンクークエ)というお菓子。
紅い亀というその名の通り、亀がモチーフになっているもので、一部の中華系の人の間で慶事やお供えものとして使われるお菓子です。
通常は中に緑豆のペーストが入っています。
店舗ロケーション&行き方
住所:1, Jalan Balai Polis, City Centre, 50000 Kuala Lumpur
定休日は月曜日。
最新の情報はお店の公式Facebookで確認するようにしてください。
すごく混み合うお店なので、待ち時間を考慮して、時間に余裕がある時に足を運ぶ形がおすすめです。(特に週末は激混みです)
朝の開店直後でもすぐにテーブル席が埋まるので、待ち時間を減らしたい場合は、なるべく早い時間帯にお店に行く方が良いかもしれません。
カヤトーストやクロワッサンカヤに関しては、Kafei Dianの方が美味しいです。
Ho Kow Hainam Kopitiamへのアクセス方法
最寄駅はLRT/MRTのPasar Seni駅。
MRTのPasar Seni駅A出口を出てまっすぐ歩くと「Purple Cane(紫藤)」というティーショップがあります。
そのお店の手前で右に曲がり、そのまま道に沿って歩いていくと到着します。
Ali, Muthu & Ah Hock KopitiamやOld China Cafe(オールドチャイナカフェ)を越え、歩いていくと何九海南茶店(Ho Kow Hainam Kopitiam)があります。
まとめ:クアラルンプールで人気のコピティアム
マレーシアのコピティアムをよく知る人であったり、普段からほかのコピティアムを利用している人にとって、何九海南茶店で提供される料理の味は評価が分かれる…ように感じています。
ただ、お店にはニコニコした何九さんがいて、「おじいちゃんみたいだな…」と幼少期を思い出させてくれる、そんな場所です。
バター&カヤバン、茨厂街虾米咖喱猪肠粉(カレーチーチョンファン)と炒米粉(ビーフン炒め)はおすすめです。
以上、何九海南茶店(Ho Kow Hainam Kopitiam)についての紹介でした!