中国南部発祥の麺料理である滷麵(ローミー)。
マレーシアの中華系の人々の間で親しまれているローカル料理の1つとして知られています。
この記事では、中国福建省を起源とする滷麵の概要とマレーシアのローミーの特徴について紹介します。
福建料理の滷麵/卤面(ローミー)
中国・福建省発祥の滷麵(卤面)。
コーンスターチなどでとろみをつけたトロトロの餡が特徴のあんかけ麺です。
表記と読み方
表記は、滷麵または卤面。
どちらも同じものを指しますが、
- 滷麵→繁体字表記
- 卤面→簡体字表記
…になります。
標準中国語での発音は、Lǔ miàn(ルーミェン)で、福建語の発音ではLor Mee/Loh Mee(ローミー)。
マレーシアでは、福建語でローミーと呼ぶことが一般的です。
福建省のなかでも地域によって異なる卤面
同じ福建省のなかでも、
- 漳州
- 泉州
- 福州
- 莆田(興化)
…など、地域によって、ご当地の滷麵(卤面)があると言われています。
異なる具材を使ったり、異なる調理法が用いられていて、調理法については、
…といった作り方があります。
こちらは莆田スタイルの滷麵。
上記画像の滷麵は、ミシュラン1つ星を獲得したシンガポール発の福建料理レストランの莆田餐馆(Putian)で提供されているローミーになります。
莆田餐馆(Putian)の看板メニューの1つとして知られる、福建紅菇海鮮卤面(Fujian Red Mushroom Seafood Lor Mee)。
メニュー名に「紅菇」という言葉が使われているように、赤いきのこが使われているため、餡が赤みを帯びています。
海鮮の旨味がつまった美味しい滷麵です。
マレーシアのLor Mee/Loh Meeとは?
マレーシアの滷麵(ローミー)は、中国・福建省からマレー半島に渡ってきた移民により伝播したものになります。
漳州のローミーをベースにするもの、泉州のローミーをベースにするものなど、様々なローミーがあり、黒っぽいスープ餡や白っぽいスープ餡のほか、味つけや麺の種類が異なるローミーが存在します。
マレーシアでも地域により差異があるため、ここではマレーシア北部の都市であるペナンとマレーシア中部の都市であるクアラルンプールで一般的なローミーの違いについて紹介します。
【マレーシア北部】ペナンのローミーの特徴
ペナンをはじめとするマレーシア北部のローミーは、福建省・漳州のものをベースにしていると言われています。
調理法としては、スープ餡と麺を別々に作り、茹でた麺にスープ餡をかけるあんかけスタイルになっています。
五香粉が特徴
ダークソイソースや醤油を使うペナンのローミーは、黒っぽい色をしていて、スープ餡に五香粉(ファイブスパイスパウダー)を使っているところが大きな特徴です。
そのため、スープ餡からは、鼻に抜けるスパイスの香りがします。
ペナンのローミーには、薄切りの豚肉、煮卵(中国語で滷蛋)、もやしのほか、サンバルと生のにんにくが添えられていることが基本です。
にんにくはたっぷり添えられていることが多く、これが味のパンチになります。
有料の追加トッピングには、小腸やレバー、豚皮、鶏の足、椎茸などがあり、スープ餡を作る時に一緒に煮た具材がトッピングとして販売されています。
スープ餡の色味はお店によって多少違いがあるものの、どのお店のスープ餡も、サラサラしているというよりは、しっかりとしたとろみがつけられています。
ビーフンミーが基本
ペナンのローミーに使用する麺は、Bihun(ビーフン)とMee(ミー)をミックスしたビーフンミーが一般的です。
ただ、好みに応じて、ビーフンだけ、ミーだけという選択も可能です。
インスタント麺も選べる
ペナンのローミーのお店では、ビーフンやミーのほか、インスタント麺を選ぶことができるケースが大半です。
インスタント麺は、ペナンのローミーにすごく合います。
福建麺と一緒に販売していることが多い
ペナンでは、ローミーを販売するお店が福建麺を一緒に販売していることが非常に多く、ローミーと福建麺をミックスした福建滷(福建卤)を提供しているお店がよくあります。
2つの異なる料理を一度に楽しむことができるペナンのグルメです。
【マレーシア中部】クアラルンプールのローミーの特徴
クアラルンプールを中心としたマレーシア中部では、ペナンと同じローミーを提供しているお店もありますが、ペナンとは異なるタイプのローミーを提供していることが多いと言えます。
ペナンのローミーを食べる感覚で、クアラルンプールでローミーを注文すると、「全然違う!」びっくりすることがあるかもしれません。
Ulu Yam Loh Mee(ウルヤムローミー)が多い
クアラルンプールによくあるローミーとしては、烏魯音卤面(Ulu Yam Loh Mee)。
スランゴール州の烏魯音(ウルヤム)という場所を発祥とするローミーになります。
ダークソイソースや醤油を加えるウルヤムローミーは黒っぽい色をしていることに加え、しっかりとした香醋(中国の黒酢)の味があるところが大きな特徴です。
酢の味がしっかり効いているため、ペナンのローミーと比較して、かなりさっぱりした味です。
また、ウルヤムローミーには、うどんのような太い麺が使われていることが多いことも特徴で、自家製の手打ち麺を売りにしているお店が多くあります。
まとめ
マレーシアでも地域が異なると、別料理のような感覚で食べることができるローミー。
ペナンのローミーはガッツリとした味、クアラルンプールに多いウルヤムローミーはさっぱりとした味で、それぞれ異なる美味しさがあります。
ただ、個人的にはペナンのローミーが美味しいと感じています。
以上、マレーシアのローミーについての紹介でした!