中国の端午節に欠かせない粽(ちまき)。
華人が多いマレーシアにおいても、中華系の人は端午節に粽を食べる習慣があり、ユニークなものとして娘惹粽(Nyonya Chang)と呼ばれるプラナカン伝統の特別な粽があります。
この記事ではマレーシアの粽の概要と青&白の2色で作られるニョニャの粽について紹介します。
端午節に食べられる粽(ちまき)
旧暦5月5日に祝う端午節。
中国語でDuānwǔ jié(ドゥアンウージエ)と呼ばれる端午節は、別名でドラゴンボートフェスティバルと呼ばれることもあります。
端午節は中国の祭日として知られているものの、香港や台湾のほか、華人の多いマレーシアやシンガポールでも祝う慣習があります。
そんな端午節に欠かせない食べ物は粽。
マレーシアのなかでも中華系の人が多いエリアでは、普段から粽を販売している専門店がありますが、一年のなかで特に目にすることが多くなるのはやっぱり端午節です。
マレーシアの粽
中国において、粽は北部と南部で異なるものがあったり、台湾でも台北などの北部に伝わる北部粽と台南や高雄などの南部に伝わる南部粽があるように、マレーシアの粽にも塩っぱいもの&甘いものなど、色々なものがあります。
マレーシアの華人は中国南部に祖先のルーツを持つ人が多いため、
- 福建式の粽
- 広東式の粽
- 潮州式の粽
- 海南式の粽
- 客家式の粽
…など、中国南部式を踏襲する粽が多いところが特徴で、特に福建式の粽が定番です。
さらにマレーシアの文化&歴史的背景からプラナカンの粽も存在します。
マレーシアで定番の粽は鹹肉粽
マレーシアで定番の粽は鹹肉粽(咸肉粽)。
中国語で「塩っぱい」を意味する「鹹(咸)」という言葉が使われている通り、塩っぱい味つけのセイボリー系の中華ちまきになります。
マレーシアにおける中華ちまきの定番である福建式の鹹肉粽は、
…などを具材に、五香粉(ファイブスパイスパウダー)や醤油&ダークソイソースなどを使って味つけして作られているところが特徴です。
肉粽は福建語でBak Changと呼ばれています。
甘い粽はKee Chang(碱水粽/枧水粽)が定番
甘い系統の粽としては、アルカリ水を使って煮て作るKee Chang(漢字表記は碱水粽や枧水粽)が定番です。
Kee Changは、あずきなどのフィリング入りのものとフィリングなしのものがあり、フィリングを入れないKee Changはグラマラッカ(パームシュガー)などの甘いシロップにディッピングして食べます。
プラナカンに伝わる娘惹粽(Nyonya Chang)
プラナカン式の粽である娘惹粽(Nyonya Chang)。
プラナカン文化があるマラッカやペナンに伝わる粽になります。
娘惹は中国語でニョニャを意味します。
娘惹粽(Nyonya Chang)の見た目の特徴は青と白のツートーンカラー。
具材に豚肉や砂糖漬けした冬瓜、味つけのスパイスにコリアンダーパウダーを使う点がニョニャ粽の特徴です。
娘惹粽(Nyonya Chang)は、甘い+塩っぱいがミックスした味つけになっていて、どちらかと言うと甘みが強めのユニークなテイストになっています。
青い色づけにバタフライピーを使う
娘惹粽(Nyonya Chang)の象徴と言える鮮やかなブルーカラー。
これは天然色素であるバタフライピーを使っています。
近年、カラフルドリンクに使われることが多い素材として知られています。
ペナンとマラッカのニョニャ粽の違い
娘惹粽(Nyonya Chang)は青と白のツートーンカラーが特徴だと述べたものの、これはマラッカに伝わるニョニャ粽の特徴になります。
ペナンのニョニャ粽はバタフライピーを使わない白色が伝統スタイルになりますが、マラッカ式の影響を受けて、近年は青と白の2色で作ることが増えてきたと言われています。
まとめ
娘惹粽(Nyonya Chang)は、マラッカなどに行くと販売しているお店を見かけることが多いものの、クアラルンプールでも購入できます。(クアラルンプールではチャイナタウンやICC Puduなどに粽を通年販売しているお店があります。)
普通の粽とは異なる、ちょっとユニークな粽を食べてみたい時は、ニョニャの粽をチョイスしてみると面白いと思います。
以上、娘惹粽(Nyonya Chang)についての紹介でした!