インドネシアやマレーシアに受け継がれる、ろうけつ染めのBatik(バティック)。
この記事では、ろうけつ染めの詳細とマレーシアでバティックが買いたい時におすすめの場所について紹介します。
ろうけつ染めとは?
布に蝋で模様を描いて防染したのち、布を染色し、蝋を水で洗い流して作られるろうけつ染め。
ろうけつ染めは世界各国で古くから存在する技法で、中国では春秋戦国時代の頃から存在していたと言われ、2,000年以上の歴史を持ちます。
日本でも、奈良時代から蝋纈が染料技術として取り入れられていたと言われています。
Batikとは?
インドネシアやマレーシアで有名なBatik(バティック)。
ろうけつ染めの布製品を意味します。
Batikの起源は明確になっていないものの、Batikが有名な場所はインドネシアのジャワ島。
マレーシアのバティックの歴史
マレーシアにおけるBatik(バティック)は、ジャワ島からマレー半島の東海岸(クランタンやトレンガヌ)に移り住んだ人々が作ったものが起源だと言われています。
そのため、マレーシアでBatikと言うと、クランタンとトレンガヌが産地として有名です。
マレーシアのバティックの特徴
マレーシアのBatik(バティック)は、
- 花や葉、幾何学模様をモチーフにしたデザインが多い
- 明るい色づかい
…など、ジャワ島伝統のバティックとは異なる特徴を持ちます。
バティックにはどんな商品がある?
腰に巻いて使うSarong(サロン)のほか、シャツ、スカーフ、小物など、様々な商品があります。
上記画像はマレーシアのプラナカンに伝わるSarong Kebaya(サロン クバヤ)。
Baju Kebaya(バジュ クバヤ)と呼ばれるブラウスに、ロングスカートのSarong(サロン)を組み合わせた伝統衣装で、サロンはバティックで作られているものが多いです。
Batik(バティック)は、日本人に人気のお土産のなまこ石鹸を包むラッピング素材にも使われています。
Batikはどうやって作られている?
- 蝋をつける
- 色染め&色留めする
- 布地を洗い蝋を取り除く
- 乾燥させる
基本的にはこのような流れで作られています。
ろうけつ染めの材料
ろうけつ染めには、蜜蝋(ビーワックス)を使うことが伝統的な手法になります。
実際には、ワックスだけではなく、パラフィンワックスと樹脂を混ぜたものを使用します。
デザイン手法
バティックのデザイン手法には、
- Block Printing(スタンプ)
- Hand Drawn(手書き)
- Screen Printing(型板)
…があります。
最も高い価値があるものは、手書きのバティックで、同じものが存在しない1点ものになります。
また、近代化に伴い手作業ではなく機械で印刷されるバティックもあります。
Batik Cap
バティックの伝統的な製法にあたるBlock Printing。
模様が描かれた型にワックスをつけて、布地に型を繰り返し押しあててデザインを作る手法を指します。
スタンプの型をCapと呼び、スタンプ式で作られるバティックは、Batik Capと呼ばれています。
Batik Tulis
手書きで作られるバティックのBatik Tulis。
Cantingと呼ばれるペンのような道具に溶かしたワックスを入れ、手書きする手法になります。
ワックスでデザインを形成したあとは、色づけをします。
クアラルンプールにあるバティック作り体験ができる場所
マレーシアには、バティック作り体験できる場所がいくつかあります。
ワックスづけから体験できる本格的なところと、色づけだけの体験ができる簡易的なところまで様々ですが、ここでは観光客の受け入れが多いクアラルンプール中心部にあるスポットを紹介します。
Jadi Batek
クアラルンプールのImbi(インビ)にあるJadi Batek。
バティックのほか、なまこ石鹸やピューター商品など、色々なお土産商品を店内で販売しています。
Jadi Batekでは職人さんによるデモンストレーションも行われていて、目の前で蝋づけしているところや色染めしているところを見ることができます。
また、同じエリアでワークショップを行っていて、バティック体験ができます。
色染めだけのコースから、蝋づけからはじめることができる本格コースもあります。
色づけバティック体験の詳細はこちら
絵&色づけバティック体験詳細はこちら
住所:30, Jalan Inai, Imbi, 55100 Kuala Lumpur, Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur
Tun Razak Exchange駅から徒歩6分程度。
MRTやモノレールのBukit Bintang駅からは、徒歩で12分ほどの距離にあります。
Ainna Artwork
セントラルマーケットのAnnexeにあるAinna Artwork。
バティック色づけのDIYができる場所で、カジュアルな体験をしたい時に便利なスポットです。
蝋づけされた布地が準備されていて、好きなデザイン&サイズを選んで、色づけする形になっています。(料金はRM25〜RM30程度です。日本円で750円〜900円程度)
先着順でなくなり次第終了となります。混んでいることが多い場所なので、DIY体験がしたい場合は早めに足を運ぶことをおすすめします。
住所:Lot 1.03A G floor central market annexe, Jalan Hang Kasturi, City Centre, 50050 Kuala Lumpur
Annexeはセントラルマーケットの建物のなかではなく、外側にあるアートスペースになります。
マレーシアのどこでバティックを購入する?
ここでは、男性向けのバティックシャツを取り扱うお店について紹介します。
Kapten Batik
コンテンポラリーデザインのバティックを販売するKapten Batik。
2017年に創業した比較的新しいブランドですが、伊勢丹KLCC、伊勢丹ザ・ガーデンズモール、Bangsar Shopping Centreなどに店舗を拡大していて、おしゃれなローカルの人に人気のブランドです。
沖縄のかりゆしウェアやアロハシャツに近い感じのシャツが多く、メンズのバティックシャツを探している時におすすめのお店です。
マレーシア伝統菓子のKueh(クエ)をデザインモチーフにしたバティックシャツなど、マレーシアらしいコレクションも登場しています。
住所:3rd Floor, Isetan KLCC, Petronas Twin Tower, 241, Jalan Ampang, Kuala Lumpur City Centre, 50088 Kuala Lumpur, Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur
旅行者の人は伊勢丹KLCCの店舗利用が便利です。
Level 3にお店があります。
Batik Boutique
モダンなバティック商品を販売しているBatik Boutique。
パイナップル柄のシャツや小物など、かわいい系統のバティックもあります。
クアラルンプールに複数店舗がありますが、The Rowにある店舗が旅行者に便利です。
Batik Boutiqueでは、ワークショップも開催しています。
住所:GF, The Row, 58, Jalan Doraisamy, City Centre, 50300 Kuala Lumpur, Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur
Batik Boutiqueは、ニョニャラクサが人気のLimapuloと同じ場所(The Row)にあります。
Jadi Batek
バティック作り体験で紹介したJadi Batek。
ツアー関連の観光客が多い場所なので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、商品が豊富で店員さんは親切です。
また、職人さんのデモンストレーションを間近で見学できるところもポイントです。
こちらはJadi Batekで販売されている手書きのBatik Tulis。
メインデザインは、False bird of paradise(Heliconia rostrata)。
こちらが実物のフォールス・バードオブパラダイス。
マレーシアでは割と目にすることが多い植物です。
Jadi Batekは伝統的なデザインのバティックが多いため、あまり好みのデザインがないな…と感じてしまうケースがあるかもしれませんが、よく探してみると、ユニークなデザインのシャツもあります。
セントラルマーケット
セントラルマーケットの2階エリアに、Batik(バティック)を販売するお店がたくさんあります。
安いインドネシア産のバティックも多く、値段はピンキリです。
観光客向けの買い物スポットなので、バティックを購入する場所としておすすめというわけではありませんが、バティック商品にはどんなものがあるのかな?という時に、パッと見るには良い場所です。
女性の洋服や雑貨がかわいいNala Designs
上記で紹介したお店は主に男性向けで、女性の人が自分用のお土産を購入したい時に「買いたいものがない…」と感じてしまうことがあると思います。
そんな時は、Nala Designsに足を運ぶことをおすすめします。
伝統的なバティックブランドではありませんが、クバヤやサロンがあるほか、バティック調のかわいい洋服、雑貨、バッグを購入することができます。
セントラルマーケットに新しくお店をオープンしているので、立ち寄ってみてください。日本人の感覚に合うような商品がたくさんあります。
マレーシアにおけるバティックシャツの値段
バティック商品は、
- 産地(インドネシア産/マレーシア産)
- ブランド
- デザイン手法(手書き/ブロック)
- 素材(コットン/シルク)
…などの要素によって価格が異なります。
例えば、クアラルンプールでマレーシア産の男性バティックシャツを購入する場合、価格帯はRM160〜RM400程度。(日本円で約4,800円〜12,000円)
機械を使って印刷されるバティックシャツにはもっと安い商品もありますが、安さにはそれなりの理由があります。
伝統製法で作られているものとブランドとして確立されているものは、上記のような価格帯になっていることが多いです。
バティックシャツの価格比較
- RM159〜RM289くらいの価格帯、高いものだとRM500もあり
- 製造手法はスクリーンプリンティングやハンドスタンピング(ブロックプリント)が多い
- ブロックプリントシャツの価格はRM279
- ブロックプリントコットンシャツはRM168
- 手書きのコットンシャツはRM228
- シルク製の手書きシャツはRM400程度
- 安いインドネシア産のシャツはRM50程度
- マレーシア産のコットン製ブロックプリントシャツはRM189程度
*価格は2023年時点の情報に基づきます。
Jadi Batekで販売されているシャツとほぼ同じデザインのシャツがセントラルマーケットではRM20くらい高い価格で販売されていたので、セントラルマーケットで買うよりもJadi Batekの方が良いかもしれません。
観光客が多い場所で買い物をする時の注意事項
ショッピングモールに入っているお店やブティックでは値下げ交渉はできませんが、観光客をメインの客層にしているセントラルマーケットやJadi Batekでは価格交渉ができることが多いです。
複数の商品を買う場合は、支払いする前に値下げできるか店員さんに聞いてみることをおすすめします。
セントラルマーケットは観光客価格で高めの値段になっているものが多いので、同じフロアにある複数のお店を見てから買い物する形がおすすめです。