中国式ポークジャーキーやドライミートと呼ばれる肉乾(バクワ)。
マレーシアやシンガポールの春節(旧正月)に欠かせない食材の1つとして知られています。
この記事ではバクワの概要、マレーシアで購入したい時におすすめのお店、美味しい食べ方について紹介します。
肉乾(バクワ)とは?
中国式の伝統的な肉の調理方法および貯蔵方法がもとになっている肉乾(バクワ)。
起源は中国の福建省であると言われています。
春節などの特別な機会にのみ「ご馳走」として食べることができた、豚肉がまだ高価で希少なものであった時代に、肉を長期保存する為にあみだされたものがバクワになります。
伝統的なバクワは豚肉のほか、牛肉やマトンが使われています。
マレーシアやシンガポールのバクワ
マレーシアやシンガポールのバクワは、中国の福建省からマラヤに渡ってきた移民がもたらしたものになります。
マレーシアやシンガポールの伝統的なバクワは、
- 甘みが強めのテイスト
- 炭火で焼き上げる
…ところが特徴です。
昔ながらのバクワは炭火を使っているところが1つのポイントで、香ばしく仕上がっています。
春節に欠かせない贈り物
マレーシアやシンガポールの春節(旧正月)に定番の食材には色々なものがありますが、肉乾はその1つです。
とりわけ、春節(旧正月)の贈り物やお土産の定番になっています。
春節前になると、肉乾専門店は多くのお客さんで溢れ、行列ができている光景は珍しいものではありません。
肉乾専門店は普段はそれほど混み合うことがないものの、お正月直前は一年で一番混み合います。
肉乾(肉干)の読み方と発音
漢字表記は肉乾または肉干。
違いは繁体字か簡体字かの違いで、肉乾は繁体字表記、肉干は簡体字表記になります。
標準中国語の発音ではロウガン(ピンインはRòu gān)になりますが、シンガポールやマレーシアでは福建語の発音でBakkwa(バクワ)と呼ぶことが一般的です。
英語では、Dried Meat(ドライミート)やChinese Pork Jerky(チャイニーズポークジャーキー)、またはBarbecue Pork(バーベキューポーク)と呼ばれることが多いと言えます。
ポークジャーキーはどんな味?
マレーシアやシンガポールの肉乾(バクワ)は、
- 砂糖
- 塩
- 醤油
- スパイス
…などで味つけされています。
ソースの甘みが強いので、甘いものが嫌いな人は苦手に感じることがあるかもしれませんが、子供でも食べることができる甘みがあります。
また、英語でJerky(ジャーキー)という言葉が使われることから、ビーフジャーキーの味と似てる?と思うことがあるかもしれませんが、肉乾は甘塩っぱい味が特徴で、ビーフジャーキーの味とは異なります。
Bakkwa(バクワ)の種類
肉乾専門店に足を運ぶと、様々な種類の商品が販売されていて、「何がどう違うの?」と迷ってしまうことがあるかもしれません。
ポークジャーキーの種類は主に2種類あり、
- 切片豬肉乾(Dried Sliced Pork)【スライス】
- 碎片豬肉乾(Dried Minced Pork)【挽肉/ミンチ】
…に分類することができます。
①の切片は厚切り肉(肉の塊)をスライスしたもの、②の碎片は挽肉(ミンチ)を使ったものになります。
中国から伝わった伝統的な製法はスライス式で、ミンチ式はあとから開発された製法になります。
一般的には脂身が少ないスライスの方が歯応えがあり、挽肉の方が脂身が多く柔らかい食感になります。
漢字であれば切片や碎片、英語であればSlicedやMincedという言葉が商品名に使われているので、これらのキーワードを覚えておくと肉乾を購入する時に役立つと思います。
鶏肉など豚肉以外の肉乾もある
バクワのメインは豚肉ですが、鶏肉を使った肉乾もマレーシアやシンガポールでは一般的です。
鶏肉の方がややあっさりしているものの、豚肉と鶏肉で大きな味の違いはありません。(見た目もほぼ同じです)
ただ、豚肉や鶏肉の間で迷ったら、豚肉をおすすめします。
また、お店によって、イカやエビを使ったものや、甘み少なめの肉乾を販売していケースもあります。
スパイシーフレーバー
先述したように、麻辣(マーラー)や辣椒(ラージャオ)のフレーバーなど、スパイシーフレーバーの肉乾も定番です。
見た目は普通の肉乾(バクワ)と同じですが、ピリピリとするテイストになっています。
形状
四角い形状が一般的ですが、コイン(お金)の形状をしたものもよく目にします。
作りたての新鮮な商品と真空包装された商品
肉乾専門店には、作りたての新鮮な商品と真空包装済みの商品があります。
保存料などを使っていないお店の新鮮な肉乾(バクワ)は消費期限が短めです。
事前に真空包装されたものは消費期限がやや長めになっています。
マレーシアにある肉乾の有名店
マレーシアで肉乾(バクワ)を購入したい時、以下のお店が定番です。
- 美珍香(Bee Cheng Hiang)
- 我来也(OLOIYA)
- 龍記(Loong Kee)
①はシンガポールベースの企業、②と③はマレーシアベースの企業になります。
美珍香(Bee Cheng Hiang)
シンガポールで1933年に創業した美珍香(Bee Cheng Hiang)。
美珍香は日本(銀座)にも店舗があります。
龍記や我来也と比較して価格が高めですが、質は良いと感じています。
人工的な添加物を使用していないこと、また炭火を使って焼き上げているという特徴があります。
我来也(OLOIYA)
40年以上の歴史を持つ我来也(OLOIYA)。
我来也の本店はクアラルンプールのチャイナタウンにあり、数年前に本店のリノベーションしたため、店内は綺麗になっています。
オーブンで焼き上げている我来也の肉乾は美珍香よりも甘みが強く、香ばしさは美珍香の方が上であると感じています。
我来也には、ハートの形をしたかわいい肉乾があります。
龍記(Loong Kee)
1976年創業の龍記(Loong Kee)。
龍記はクアラルンプールのチャイナタウンに多数の店舗を持ち、チャイナタウンを歩いていると、「あっ、ここにもある!」というくらい視界に入ってきます。
龍記のバクワの価格は、我来也とほぼ同程度で、美珍香と比較するとやや安いです。
味は良いので、バクワの購入先としておすすめです。
クアラルンプールではどこで購入する?
便利なお買い物スポットについて紹介します。
チャイナタウン
美珍香、龍記、我来也の3店が揃っている場所は、クアラルンプールのチャイナタウン。
美珍香はJalan Sultan、龍記はPetaling StreetやJalan Hang Lekir、我来也はJalan Hang Lekirにあります。
3店とも近い場所にあるので、徒歩で行き来できます。
ショッピングモール
チャイナタウンは少し雑踏としているので、落ち着いた環境で購入したい場合は、ショッピングモールに入っている店舗利用もおすすめです。
美珍香(Bee Cheng Hiang)と我来也(OLOIYA)は、ショッピングモール内に店舗があります。
美珍香(Bee Cheng Hiang)はMid Valley MegamallやPublikaなど、 我来也(OLOIYA)はPavilion KLやThe Gardens Mallに店舗があります。
バクワは日本には持ち込めない
原則として、海外で購入した肉類(加工品含む)は日本に持ち込むことができません。
例えば、マレーシアに旅行で遊びに来て、バクワを購入した場合、日本に持ち帰ることができないため、現地で消費する形になります。
また、日本でなくても、肉製品の持ち込みを禁止している国は非常に多く、持ち帰ることができないケースが想定されるので注意してください。
美珍香(Bee Cheng Hiang)は日本にも店舗があるので、日本で購入したい時は美珍香(Bee Cheng Hiang)に足を運んでも良いかもしれません。
バクワの美味しい食べ方
小腹が空いた時にそのまま食べる形もおすすめですが、ここではマレーシアで定番の美味しい食べ方について紹介します。
マレーシアで定番の食べ方はサンドイッチ
マレーシアにおける定番の肉乾の食べ方はサンドイッチ(ハンバーガー)。
現在は少なくなってきていますが、マレーシアにはその場でバクワを炭焼きにして熱々のバクワサンド(バクワバーガー)を作ってくれる屋台があります。
上記画像はペナンにあるバクワサンド(バクワバーガー)のお店で、蒸したふかふかのパンに炭焼きした肉乾を挟んで提供してくれます。
伝統の炭火で肉乾(バクワ)をこんがりと焼いています。
ただ、上記画像のような形でバクワサンドを販売しているお店はクアラルンプールには非常に少なく、バクワサンドイッチが食べたい時は龍記(Loong Kee)や我来也(OLOIYA)など肉乾専門店に足を運ぶ形になります。
パンにマーガリンを塗り、バクワ、きゅうり、肉鬆(ミートフロス)、卵などを挟んで作られてたバクワサンド(バクワバーガー)を気軽に食べることができます。
ただ、これは肉乾(バクワ)とパンさえあれば、自宅でも簡単に作ることができます。
おすすめアレンジ
肉乾はチーズとも相性が良く、バクワ、チーズ、レタス、きゅうり、レタスを入れて、普通のサンドイッチにしても美味しいです。
材料さえ揃っていれば、手間なくぱぱっと作ることができる簡単アレンジです。
チーズはお好きなもので構いませんが、個人的にはチェダーチーズがおすすめです。
ルッコラを加えるとさっぱり食べることができます。
ルッコラが持つピリっとした味が、肉乾の濃い甘みを中和してくれます。
まとめ
甘塩っぱい肉乾(バクワ)は小腹が空いた時にそのまま食べたり、サンドイッチにしてアレンジしたり、色々な食べ方ができます。
海外で購入して日本に持ち帰ることができない点が少し残念ですが、海外旅行した時に現地で食べてみたり、日本にある美珍香(Bee Cheng Hiang)のお店で購入してみてください。
以上、バクワについての紹介でした!