ペナンのカヤトーストに使われていることが多いRoti Benggali(ロティバンガリ)。
香ばしいクラストにモチモチ&ふかふか食感のクラムが特徴のロティバンガリは、ペナン生まれのシンプルで安価な美味しい食パンです。
ペナン生まれのRoti Benggali(ロティバンガリ)とは?
ペナン発祥のRoti Benggali(ロティバンガリ)。
パンを意味するRoti(ロティ)を英語にして、Benggali Bread(バンガリブレッド)と呼ばれることもあります。
バンガリブレッドの特徴
Roti Benggali(ロティバンガリ)の特徴の1つは、パンの耳にあたるクラストの部分。
ロティバンガリのクラストはサクサク食感で、こんがり焼かれた良い香りを放っています。
一方で、パンの内層にあたるクラムはふかふか食感で、ほど良いもっちり感があります。
Roti Benggaliは、いわゆる山型のイギリス食パン(イギリスパン)に近いもので、シンプルなテイストのパンになります。
Roti Benggali(ロティバンガリ)の歴史と由来
ペナンで生まれたロティバンガリは、実に100年近い歴史を持ちます。
ペナンにロティバンガリをもたらしたのは、インドのマドラス(現在のチェンナイ)からマラヤに移住したSheik Mohd Ismailとその友人たち。
1928年、Sheik Mohd Ismailらはペナンでベーカリーを立ち上げ、「Roti Penggali」と名付けたパンの販売をはじめます。
これが今あるRoti Benggaliになります。
Roti Penggaliを作ったSheik Mohd Ismailたちは、マレーシアでMamak(ママッ)と呼ばれるインド系イスラム教徒の人々で、現在においてもバンガリブレッドを販売するベーカリーのオーナーや販売する人はMamakであることが多いという特徴があります。
Penggaliの意味(由来)
Benggaliの元となっている言葉は、タミール語のPenggali(Panggali)。
Penggali(パンガリ)はshareholder(シェアホルダー)という意味を持つほか、brotherhoodなど親しい間柄であったり、組合や協会などの意味で使われる言葉として知られています。
今で言うジョイントベンチャー(合弁事業)として、Sheik Mohd Ismailが友人たちと販売するようになったパンであるため、Roti Penggaliと呼んだと言われています。
上記画像はトライショーを使って、路上でBenggali Bread(バンガリブレッド)を販売する人(Roti Man)を表現した、ペナンのジョージタウンにあるワイヤーアートになります。
少し見にくいですが、Benggaliの元となる言葉がタミール語のPenggaliであると記載されています。
Roti PenggaliがRoti Benggaliとして定着した理由
創業者たちが「Roti Penggali」と名づけたものが、なぜRoti Benggaliと呼ばれるようになったのか?
これは、ペナンのローカルの人がPenggali(パンガリ)という発音を「Benggali(バンガリ)」と間違った発音で呼ぶようになったものが定着してしまったためです。
以来、「Roti Benggali(ロティバンガリ)」という言葉が使われています。
ロティバンガリとインドのベンガルは関係ない
Benggali(バンガリ)という言葉が使われていることから、
インドのベンガル地方と関係があるのでは?
…と勘違いされることが多いRoti Benggali(ロティバンガリ)。
しなしながら、ベンガル地方とは関係はないと言われてます。
実際に、Benggaliの元の言葉となっているPenggaliはベンガル語ではなくタミール語になります。
ペナンで有名なバンガリブレッドベーカリーのMaliia Bakery
ペナンで最も有名なRoti Benggali(ロティバンガリ)を販売するベーカリーがMaliia Bakery。
個人客向けにパンを販売するほか、ペナンの数々のレストランやコピティアム、Mamak Stall(ママッストール)や路上にあるお店など、多くの飲食店に販売しています。
毎日、お店で焼き上げた新鮮なロティバンガリを販売しているMaliia Bakery。
Sheik Mohd IsmailたちがPenggali Breadの販売をはじめたお店がMaliia Bakeryがある場所で、当初はBritish Malaya Bakeryとして営業していました。
第二次世界大戦中に日本がペナンを占領した際に、日本軍がイギリス軍を連想させる「British Malaya(ブリティッシュマラヤ)」という店名を嫌ったために、「Malaya Bakery」に店名を変更しています。
戦後にIsmalia Bakeryとして改名したほか、2007年にMaliia Baleryに名称を変えてオープンしています。
Maliia Bakeryのメニューと価格
上記画像は2022年6月1日時点の料金表になります。
1 loaf(ローフ)のバンガリブレッドの価格はRM1.40。(1リンギットを30円とした場合、日本円にして43円程度)
バンガリブレッド自体は長い歴史を持つものですが、庶民のパンであり、現在も非常に安い価格に設定されています。
Maliia Bakeryでは、通常のRoti Benggaliのほか、全粒粉やチョコレート味のロティバンガリ、バンズや菓子パンなども販売するほか、お店でカヤトーストも販売しています。
ロティバンガリは1 loaf(ローフ)単位で購入できます。
パン1山の塊が1 loaf(ローフ)になります。
この1loaf(ローフ)分をスライスしたものや、2山分の2 loaves(ローブス)をスライスしたものを袋詰めにして販売しています。
1 loaf(ローフ)自体は、基本的に4枚切り(厚みによって5枚になっていることもあり)になっています。
このパンをトースターで焼いて、バター(マーガリン)とカヤを塗れば、ペナンスタイルのカヤトーストを自宅で簡単にいただくことができます。
ピーナッツバターを塗って食べても美味しいです。
スライスされたパンを買う方が食べる時に楽ですが、Maliia BakeryではスライスしていないRoti Benggali(ロティバンガリ)を購入することも可能です。
上記画像は8 loaves分のバンガリブレッド。
この分量でRM11.20という安さです。(日本円で約344円)
スライスしていないパンも、1 loaf単位で購入できます。
Maliia Bakeryのカヤ
Maliia Bakeryではカヤの販売もしています。
(カヤのほかには、ピーナッツバターなどもあります。)
Maliia Bakeryで販売されているカヤは、Mamak(ママッ)の人が経営するお店のMamak Stallで使われていることが多いタイプのカヤで、中華系のコピティアムで使われている卵とココナッツの深い香りがあるカヤとは少し異なります。
甘みが非常に強いタイプのカヤで、好き嫌いが分かれるかもしれません。
Maliia Bakeryのロケーション
住所:114, Jalan Transfer, George Town, 10050 George Town, Pulau Pinang
Maliia Bakeryがある場所は、ジョージタウンのTransfer Road(トランスファーロード)。
Maliia Bakeryの対面には、Roti Canai Transfer Roadという有名なロティチャナイのお店があります。
ロティバンガリを使ったカヤトーストが美味しいお店
ペナンにはロティバンガリを使ったカヤトーストを販売するお店が多く、美味しいグルメスポットがたくさんありますが、個人的におすすめの場所について以下に紹介します。
Ah Wang Cafe
ペナンのTanjung Tokong(タンジュントコン)にあるAh Wang Cafe。
住宅街の片隅にある小さなコピティアムで、綺麗な場所というわけではないので、快適な場所でカヤトーストを食べたい人にはおすすめしませんが、Ah Wang Cafeのカヤトーストは本当に美味しいです。
また、ペナンのコピティアムと言うと、Toh Soon Cafeが有名です。ここはジョージタウン中心部のCampbell Streetにあってアクセスが良いです。(ただ、カヤトーストはAh Wang Cafeの方が美味しいと感じています)
Hutton Lane Roti Bakar
Hutton Lane Roti Bakerは、トーストのRoti Bakar(ロティバカー)とRoti Canai(ロティチャナイ)を販売しているお店です。
Hutton Lane Roti Bakarは、インド系イスラム教徒のMamak(ママッ)の人が経営しているお店で、そのカヤバタートーストには、Maliia Bakeryで販売されているようなタイプのカヤを使っています。
パンの焼き具合が絶妙で、バンガリブレッドの美味しさを堪能することができるお店です。
Roti Man(ロティマン)とバンガリブレッド
マレーシアには、バイクやトライショー(三輪車)を使い、パンやお菓子を住宅街などで移動販売するRoti Man(ロティマン)と呼ばれる人がいます。
昔と比較して、現在はRoti Man(ロティマン)の数は減少し、特に都市部ではあまり見かけることはなくなってきています。
ペナンでもRoti Manの数は少なくなってきていると言われていますが、それでもトライショー(三輪車)を使った昔ながらのRoti Manを目にすることがあります。
Maliia Bakeryはこの伝統が価値あるものだと位置づけ、今でもRoti Manを使ってそのロティバンガリを様々な場所に届けています。
上記画像はMaliia Bakeryでバンガリブレッドを調達した直後のロティマンがパンを販売するためにトライショーをこいでいる姿を撮影したものになります。
Roti Manはパンやお菓子を販売するほか、カヤも販売していて、その場でカヤトーストを注文して食べることもできます。
ペナンのストリートアートとRoti Man
ストリートアートが人気のペナンには、Roti Man(ロティマン)を描いたストリートアートがいくつかあります。
有名なものが、ペナンのBalik PulauにあるUncle RotiまたはUncle Muniandiと呼ばれるストリートアート。
Balik Pulauで有名な実在するロティマンのMuniandiさんを描いたものになります。
箱状のケースのなかにバンガリブレッドなどのパンを入れ、ケースの外に大量のお菓子やスナックなどをぶら下げて販売しているロティマンを描いたストリートアート。
まとめ
防腐剤など添加物を使わずに作られるRoti Benggali(ロティバンガリ)。
その風味と食感は特別なものがあり、ペナンのカヤトーストが格別に美味しい理由の1つがRoti Benggali(ロティバンガリ)であると感じています。
ペナンでカヤトーストを食べる時は、バンガリブレッドが使われたお店で食べることをおすすめします。