台湾主要烏龍茶の1つとして有名な包種茶。
台湾で包種茶というと、文山包種茶が有名ですが、その発祥地は台北の南港。
今ある台湾包種茶の風味を生み出した場所として知られています。
花のような香りがする包種茶とは?
半発酵の青茶に分類される包種茶。
青茶の中でもかなり軽めの発酵度合い(軽発酵)で作られる烏龍茶で、その味は緑茶に近いものがありながら、花の香りを彷彿とさせる芳醇な香りが特徴のお茶になります。
台湾のドリンクスタンドでも使っていることが多い烏龍茶で、水果茶など果物との相性が良いです。
読み方と発音
ピンインはBāo zhǒng chá(バオジョンチャー)。
台湾らしい発音だとパオチョンチャーになります。
英語のスペルでPouchong teaと表記されることもあります。
包種茶の由来
元々の包種茶は中国福建省の王義程さんが武夷岩茶の製茶方法をベースに考案したものだと言われています。
包種茶は主に青心烏龍と呼ばれる品種を使うことで知られ、青心烏龍は閩南語で「種仔」と呼ばれていました。
種仔を四角い紙で包んで販売されたことから、「包種茶」と呼ばれるようになったと言われています。
燻製した花を加えていた?
世界的な不況のため台湾茶が売れなくなっていた1870年代。
台湾で商売をしていた外国商社は台湾茶を購入することを停止し、在庫として余っていた茶葉を中国に送り、青心烏龍に燻製した花を混ぜて包種茶に加工、東南アジアなどに輸出しました。
フローラルな香りがするお茶であったことから、花香茶として南洋諸国に広がっていきました。
台湾における包種茶の歴史
台湾で包種茶の製造がはじまったのは1881年。
茶葉を台湾から中国に運んで加工するにはコストがかかりすぎたため、中国福建省の茶商人である吳福老さんが台北に「源隆號」を設立。
当時、福建省で用いられていた製法に基づいた包種茶を販売していました。
花を加えずフローラルな包種茶へ改良
1885年、中国福建省安溪から王水錦さんと魏靜さんが来台し、現在の南港舊莊があるエリアで中国から持ってきた茶の木を植えて栽培をはじめます。
長年の研究と改良により、燻製した花を加えずフローラルな香りを出す改良に成功。
これが現在の台湾で一般的な包種茶になります。
台湾の文山包種茶と南港包種茶
包種茶は台湾北部が産地として有名です。
台湾最大の包種茶の産地は坪林や石碇などがある新北市。
新北市の石碇、坪林、深坑などは、日本統治時代に台北州文山郡と呼ばれていたため、文山包種茶と呼ばれています。
一方、南港包種茶は台北市南港区にある茶園で作られる包種茶です。
台湾包種茶の発祥地であるものの、南港の茶産業は長い間衰退傾向にあり、最盛期と比較すると茶園の数は減少しています。
文山包種茶と同じように、南港包種茶も軽発酵の烏龍茶になります。
発酵度合いは10%前後(8%〜12%程度)になり、高山烏龍茶や凍頂烏龍茶よりも発酵度合いが低くなっています。
南港包種茶の味の特徴
南港式製法で作られた南港包種茶。
文山包種茶と同じように花を思わせる香りがあるお茶でありながら、高山茶を思わせる澄んだ風味もするお茶です。
甘味があって芳醇、そんな美味しい烏龍茶です。
キンモクセイを混ぜた桂花包種茶もある
南港の茶園があるエリアは、金木犀の木々が植えられていて、青心烏龍にキンモクセイの花の香りをつけた桂花包種茶もあります。
まとめ
私自身、台湾の包種茶=文山包種茶のイメージで、台湾の友人に南港にある茶園に連れて行ってもらうまでは南港包種茶があることを知らなかったのですが、実際に飲んでみて「美味しい!」という驚きがありました。
南港にある南港茶葉製造示範場では南港包種茶について学ぶことができるほか、茶農家から直接茶葉を購入することも可能です。
また、包種茶自体は台湾のお茶屋さんで購入することができるほか、ウルフティーや京盛宇でも桂香包種として包種茶が販売されているので、パッケージがかわいい包種茶を探している時はこれらのお店に足を運んでみても良いと思います。