マラッカで購入する人気のお土産、プラナカン関連のアイテム。
グリーン・ピンク・イエロー・ブルーを中心としたビビッドな色使いに、鳳凰や牡丹など縁起の良いモチーフが象徴的なプラナカン陶磁器(Peranakan Ceramics)は特に人気の高いお土産アイテムです。
この記事ではプラナカン陶磁器の歴史や知っておくと便利な豆知識に触れつつ、マラッカで購入できるプラナカン関連のお土産アイテムと購入スポットについて紹介します。
プラナカン食器(ニョニャウェア)とは?
Peranakan ceramics(プラナカンセラミック)やNyonya ware(ニョニャウェア)と呼ばれるプラナカンの陶磁器。
プラナカンの人々が愛用していたもので、ティーセット、ティーウェア、スプーン、お皿、小物入れ、花瓶など、様々なアイテムがあります。
プラナカン陶磁器の起源
プラナカン陶磁器と言うと、ババ・ニョニャ文化がある「マレーシアのマラッカやペナン、シンガポールで作られていたもの?」と思ってしまう方がいるかもしれません。
答えは中国。
プラナカン陶磁器の起源は、
1800年代中期から第2次世界大戦前までの1900年代中期にかけて、陶磁器の産地として世界的に有名な中国江西省の景徳鎮(Jingdezhen)窯で作られ、海峡華人(Straits Chinese)のために中国からマレー半島に輸入されたもの
…と言われています。
上記の説はマラッカのStadthuys(スタダイス・旧オランダ総督邸)の博物館にある陶磁器コーナーで説明されているほか、プラナカン文化のエキスパートとして著名なシンガポールの故・Peter Weeさん(Katong Antique Houseのオーナー&The Peranakan Association Singaporeの前会長)も生前のインタビューで語っています。
プラナカン陶磁器が作られるようになったのはいつ?
プラナカン陶磁器がはじめて作られた時期については諸説あり、スタダイスの博物館では18世紀後半と記載されていますが、Peter Weeさんは清王朝の同治帝の時代、具体的な年代にして同治帝が誕生した1856年頃から作られはじめたものと唱えています。
いずれにせよ、はじまりは中国・清王朝後期にあたりますが、当時の中国陶磁器には見られない華やかで鮮やかな色づかいがプラナカン陶磁器の特徴です。
これはプラナカンチャイニーズの注文を受けてオーダーメイドで作られたためであり、プラナカン陶磁器のユニークさを象徴するものになっています。
アンティーク・ヴィンテージ・リプロダクション
一般的な骨董品と同じように、プラナカンの陶磁器にも…
- アンティーク(antique)
- ヴィンテージ(vintage)
- リプロダクション(reproduction)
…があります。
①は100年以上の歴史があるもの、②は100年未満のもの、③はオリジナル品を模倣した複製品(レプリカ)です。
ヴィンテージの解釈には色々ありますが、目安としては30年以上のものがヴィンテージ品と見られています。
プラナカン食器
小皿。
スプーンとティーセット。
茶器とTiffin carrier(ティフィンキャリア)。
プラナカン食器の中でもポピュラーなアイテムと言えば、Kamcheng。
上記の蓋つき容器がKamchengになります。
ニョニャバスケット
Sia Basket(Bakul Sia)、福建語でxia na(sia na)と呼ばれるニョニャバスケットもプラナカンの間で定番のアイテムです。
食べ物を入れて運ぶほか、主に結婚式のセレモニーでウェディングギフトを入れて持ち運ぶバスケットとして使われるものになります。
また、昔は子供が生まれて1ヶ月経過した満月(マンユエ)のお祝いに、親族などに配るセット(お菓子のアンクークエ、ターメリックライスのナシクニ&チキンカレー、赤く色づけした卵)を入れて使っていたものでもあります。
赤・黒・金色の3色が定番で、基本は3層構造になっていますが、一層構造のバスケットもあります。
ティフィンキャリア
食べ物を入れて持ち歩くことができるフードコンテナのティフィンキャリア(Tiffin Carrier)。
マレー語ではMangkuk Tingkatと呼ばれています。
ティフィンキャリア自体はマレーシアだけではなく、昔からアジア各国で使われているものになりますが、プラナカンの家庭で見られるのは、赤・緑・ピンクなどのベースカラーに花柄が描かれている色鮮やかなものです。
ヴィンテージのニョニャティフィンには根強い人気があり、プラナカンの陶磁器同様に、古いアイテムを集めている熱心なコレクターがいます。
マレーシアにおいて、ティフィンキャリアは今でも普段の生活の中で使われているものであり、現在ではステンレススチール製が主流になっています。
ホーカーセンターやコピティアムでお持ち帰り(打包・ダーバオ)する時にティフィンキャリアの中に注文したものを入れてもらったり、自宅で使ったものを外に持ち出す時のフードコンテナとして使用する…という使い方が一般的です。
伝統衣装のクバヤ
伝統衣装(ブラウス)のクバヤ(Kebaya)。
透け感のある素材に美しい刺繍が施されているところが特徴です。
デザインが異なるものがあるものの、ブラウスの前部分を3つのブローチで止めて着用する形が定番です。
クバヤ(Kebaya)にはサロンと合わせて着用する形が一般的になっています。
ビーズ刺繍の靴
クバヤ(Kebaya)に加え、ビーズ刺繍の靴もニョニャたちに伝わる伝統アイテムです。
かつて、プラナカンの女性たちが嫁入り前に習得することが求められていたスキルの一つであるビーズ刺繍。
現在は伝統技術の担い手が減少していることから、“dying art(消えゆくアート)”として形容されることが多くなっています。
一つ一つのビーズを組み合わせて作られるハンドメイドのヒーズ靴は、見ているだけでため息がもれるくらい美しい…の一言に尽きます。
靴のデザインにはつま先が隠れたカバータイプのものから、オープントゥやクロスストラップデザインがあり、既製品の販売に加え、オーダーメイド対応しているお店もあります。(ただし、完全オーダーメイドにする場合は時間がかかります。)
価格に関しては既製品の安いものでRM300程度〜、デザインによって2倍・3倍、それ以上とさらに高額になります。
プラナカンモチーフのプチプラ雑貨
プチプラ&かわいいお土産を探している場合は、プラナカンテイストがたっぷりの雑貨もおすすめです。
例えば…
loka madeというマレーシアのクリエイティブブランドが手がけるステッカー。
プラナカンの食器やティフィンキャリア、ニョニャクエ、伝統衣装のほか、ヒーズ靴やショップハウスがデザインされたシールのセットになっています。
日本円にして200円程度というプチプラアイテムです。
Cherkiと呼ばれる伝統カードゲーム。
かつて、マラッカのニョニャたちが遊んでいた古いカードゲームです。
今では遊び方がわからないという人が多くなっているもので、実用的なものではありませんが、ちょっと珍しいものなので紹介してみました。
マラッカのプラナカンアイテム販売店
ここからは、カテゴリー別にお買い物スポット情報について紹介します。
プラナカン食器や雑貨類を販売しているお店
ジョンカーストリート(Jalan Hang Jebat)やその一本隣にあるJalan Tun Tan Cheng Lockにあるアンティークショップで購入することができるほか、お土産屋さんで取り扱っていることがあります。
アンティークショップに入りずらい…と感じてしまう時は、The Daily Fix Cafeという有名なカフェと同じエリアにあるお土産屋さんを覗いてみると良いと思います。
上記のように一連のプラナカン食器がディスプレイされているので、一度に色々な商品を見ることができる上、ニョニャバスケット(Sia Busket)やニョニャテイストの雑貨など、他のお土産アイテムも充実しています。
ジョンカーストリートにあるNEXT KKの看板がある建物の中にお土産ショップやThe Daily Fix Cafeが入っています。
住所:55, Jalan Hang Jebat, 75200 Melaka
オランダ広場のエリアから歩いて行くと、5分くらいでお店に到着します。
ニョニャバスケットやティフィンキャリアを販売しているお店
上記で紹介したお店でもニョニャバスケットやティフィンキャリアが販売されていますが、婚姻用具を扱う達興公司(Tak Hin & Co.)というお店にも商品が揃っています。
ニョニャバスケット。
提灯も豊富に揃っています。
住所:No. 72, Jalan Kampung Pantai, 75200 Melaka
ニョニャバスケットであれば、クアラルンプールのチャイナタウンにあるThe Basket Shopでも購入できます。こちらの方が価格がやや安いです。
クバヤを販売しているお店
クバヤ(Kebaya)はジョンカーストリートにあるお店でも取り扱っているところがあるほか、雰囲気の良いお店としてはJalan Tun Tan Cheng LockにあるSixty 3 Heritage。
Nyoya 63というニョニャ料理のレストランが入っている建物の前方部分にあり、ここでクバヤ(Kebaya)などの民族衣装や小物のお土産を購入することができます。
また、チャイナドレスのcheongsam(チョンサム)も取り扱っています。
住所:63, Jalan Tun Tan Cheng Lock, Taman Kota Laksamana, 75200 Melaka
お店はババニョニャヘリテージ博物館の対面にあります。
ビーズ刺繍の靴を販売しているお店
Jalan Tun Tan Cheng Lockやそのすぐ近くにあるJalan Hang Lekirにいくつかお店があります。
具体的には…
- Colour Beads Enterprise(Jalan Tun Tan Cheng Lock)
- Wah Aik Shoemaker(Jalan Tun Tan Cheng Lock
- J.manik(Jalan Hang Lekir)
上記3店はどれも至近距離にあるため、このあたりのお店を見てまわってみると良いと思います。
Colour Beads Enterprise
No. 84, Jalan Tun Tan Cheng Lock, 75200 Melaka
Wah Aik Shoemaker
住所:92, Jalan Tun Tan Cheng Lock, 75200 Melaka
J.Manik
住所:23, Jalan Hang Lekir, 75200 Melaka
J.Manikがある通り、Jalan Hang Lekirでは毎週日曜日の朝にフリーマーケットが開催されています。
まとめ:マラッカはプラナカンアイテムの宝庫
プラナカン関連のお土産は、同じくババニョニャ文化を受け継いでいるシンガポールやペナンで購入できるものもあります。
マラッカでは市内中心部にショッピングスポットが集まっていることから、観光を兼ねつつ、ジョンカーストリート周辺を歩くだけで、サクサクとお買い物できるところが最大の魅力です。
プラナカン関連に関わらず、アンティークショップが多い場所でもあるので、興味を持ったお店に飛び込んでみると面白い発見があるはずです。
世界文化遺産の街歩きを楽しみつつ、お土産探しをしてみてください。
以上、マラッカで購入するプラナカン食器&雑貨についての特集でした!