4つの異なる宗教施設が一つのストリート付近に立ち並ぶ、“Street of Harmony”(ストリートオブハーモニー)があるペナン島。
マレーシア社会や文化の縮図とも言える、多民族の共存や調和を象徴する場所です。
ペナンのハーモニーストリートの概要
ハーモニーストリートはジョージタウンのJalan Masjid Kapitan Keling(Pitt Street)と呼ばれる通りを指します。
この通りの付近には…
- 教会(St. George’s Church)
- 中国寺院(Kuan Yin Temple)
- インド寺院(Sri Maha Mariamman Temple)
- モスク(Kapitan Keling Mosque)
…という異なる4宗教の建物が連なっています。
どれも200年近く、またはそれ以上の歴史を持つ建築物になります。
セント・ジョージ教会
- 名称:St. George’s Church
- 建立:1818年
イギリス東インド会社によって建立されたSt. George’s Church(セント・ジョージ教会)は、東南アジアにおける初の聖公会、Anglican Church(アングリカンチャーチ)です。
その歴史は200年以上。
ペナンを海峡植民地化し、その首都であるジョージタウンを作った”父”として知られる、英国人のFrancis Light(フランシス・ライト)が英国による植民地化の象徴として、アングリカンチャーチの設置を一つのビジョンとしていたことがセント・ジョージ教会建立計画の元になっています。
フランシス・ライトは1794年に亡くなってしまったものの、そのビジョンは受け継がれ、1818年にセント・ジョージ教会が完成しました。
セント・ジョージ教会公式サイトの情報によると、セント・ジョージ教会を設計したのはイギリス東インド会社のエンジニアであったCol. James Caldwell。
インドのチェンナイにあるSt. George’s CathedralもCol. James Caldwellが設計したことで知られていますが、St. George’s Church(セント・ジョージ教会)はSt. George’s Cathedralが建築モデルになっていると言われています。
昼間に見るセント・ジョージ教会も素敵ですが、夜になると幻想的な雰囲気に一変し、また違った姿を見ることができます。
ペナンにおける教会に関しては、近くにあるCathedral of Assumptionも建築物として見応えがあります。
観音亭
- 名称:觀音亭(Kuan Yin Teng)/ 槟榔屿廣福宫(Kong Hock Keong)
- 建立:1800年ごろ
中国から海を渡ってペナンに移り住んだ中華系の人々によって建立された觀音亭(観音寺)。
お寺の正式名称は廣福宫(Kong Hock Keong)になりますが、観音様が祀られていることから、ローカルの人には觀音亭として親しまれています。
元々は航海や漁業の神様である媽祖(māzǔ)を祀っていた場所であり、ペナン最古の道教のお寺(taoist temple)になります。
春節(旧正月)は地元の参拝客で非常に混み合う場所で、極楽寺(Kek Lok Si Temple)と並び、人気の参拝スポットになっています。
スリマハマリアマン寺院
- 名称:Sri Maha Mariamman Temple
- 建立:1833年
ペナンにおける最古のヒンドゥー教寺院であるSri Maha Mariamman Temple。
タミール系ヒンドゥー教徒の人々の信仰の場で、ペナンにおけるThaipusam(タイプーサム)の起点となる場所とも知られています。
メインエントランスはQueen Street(クイーンストリート)にあります。
Gopuram(ゴープラム)と呼ばれる美しい塔門。
メインエントランスに立っている、象の頭に人間の体、片方の牙が折れた姿をしている神様、Ganesha(ガネーシャ)。
幸運・商売(富)・学業の神様として知られています。
内部はもちろん、メインエントランスにも様々な細かい彫刻が施されていて、見応えがあります。
スリマハマリアマン寺院の内部では軍神のムルガンのほか、様々な神様が祀られています。
すぐ近くにはリトルインディアがあります。
カピタンクリンモスク
- 名称:Masjid Kapitan Keling(Kapitan Keling Mosque)
- 建立:1801年
200年以上の歴史を持つMasjid Kapitan Keling(カピタンクリンモスク)。
18世紀にペナンに辿り着いたイギリス東インド会社の軍隊によって作られた…というのがMasjid Kapitan Keling(カピタンクリンモスク)のはじまりです。
ジョージタウンにおけるインド系イスラム教徒のコミュニティー拡大に伴い、当時のインド系リーダー(Kapitan Keling)であったCauder Mohuddeen Mericanは、永久的かつ大規模なモスク建立の必要性を感じるようになります。
そこで東インド会社から付与された土地に、インドから職人を呼び寄せて建立したものがMasjid Kapitan Keling(カピタンクリンモスク)です。
こんな背景から、インド系イスラムグループのリーダーを意味するKapitan Kelingという名称がモスクの名前に使われています。
ちなみに、Kelingという言葉は古代インドにあったKalingaという王国の名前が元になっていて、次第にインド系の人々を意味する言葉として使われるようになりました。
現在のMasjid Kapitan Keling(カピタンクリンモスク)は1916年に建て替えられたもので、ドームやミナレット(尖塔)はインドの影響を受けたイスラムデザインになっています。
ミナレットからはイスラム教徒の方々に礼拝の時刻を知らせる合図であるアザーンが流れます。
ハーモニーストリート周辺情報
ハーモニーストリート周辺にある、ちょっとしたエリア情報についても簡単に紹介します。
両替商(Money Exchanger)
ペナンで両替したい時におすすめのスポットがJalan Masjid Kapitan Kelingにある両替商。
同じ並びにいくつか店舗があるので、一番良いレートで交換したい時は複数の店舗で比較してみてください。
ペナンリトルインディア
Sri Maha Mariamman Temple(スリマハマリアマン寺院)のメインエントランスがある方面に歩いていくと、そこにリトルインディアがあります。
エキゾチックな雰囲気が漂い、ふらっと歩いてみると楽しい場所です。
小腹が空いた時におすすめのお店がこちら。
Little India Famous SAMOSAというお店で美味しいSamosa(サモサ)を販売しています。
サモサ料金表。
作りたて&揚げたてのサモサをいただくことができます。
スパイシーで美味しい、食べ歩きにおすすめの一品です。
まとめ:多民族国家の調和を感じることができる場所
ペナンのハーモニーストリートは、一つのストリート周辺に教会、お寺、モスクが集まっていることから、観光しやすいスポットです。
多民族国家であるマレーシアを体感できる場所でもあるので、興味がある方はペナン観光の際に立ち寄ってみてください。