台湾を訪れる観光客に人気の観光スポット、夜市(ナイトマーケット)。
規模の大きいものから小さいものまで台湾各地に色々ありますが、適度な規模で楽しみやすい夜市と言えば、台北の寧夏夜市。
グルメ夜市として知られている寧夏夜市には、美味しいものがたくさんあります。
この記事では、寧夏夜市に美味しいお店が多い歴史的背景に触れつつ、美味しいお店を見極めるちょっとしたマメ知識や夜市で食べるべきおすすめグルメについて紹介します。
台北の寧夏夜市ってどんなところ?
台北市大同區の寧夏路という通りにある夜市です。
美味しいお店が多いこと、また台北駅に近いロケーションにあることから、地元の人も観光客の人も集う人気の夜市になっています。
寧夏夜市のメインストリートは、ロータリーの圓環から民生西路までを結ぶ寧夏路。
直線距離にして約328メートルで、コンパクトな夜市です。
寧夏夜市のお手洗いの位置を確認しておきたい方は上記の画像が参考になると思います。
気になる方は事前にチェックしてみてください。
寧夏の読み方
寧夏は日本語読みすると「ねいか」ですが、中国語ではニンシャーと発音します。
ピンインはNíngxiàになります。
1本道のコンパクトな夜市
台湾の夜市として有名な士林夜市は広すぎて、同じ場所に戻ることが難しく、饒河街觀光夜市は一本道であるものの人が多くて、一周するだけで結構疲れます。
寧夏夜市はシンプルでコンパクトであることに加え、歩道のスペースが広めであるため、とても歩きやすい夜市です。
まずは一周してお店を物色。
気になるお店があったら、後から何度でも簡単に戻ることができる、そんな使い勝手の良さが魅力です。
寧夏夜市へのアクセス方法&行き方
複数の台北メトロ(MRT)の駅からアクセスすることができます。
- 雙連駅
- 中山駅
- 台北駅
寧夏夜市へのアクセスに便利な駅は①の雙連駅と②の中山駅。
雙連駅からは民生西路、 中山駅からは南京西路という大通りをまっすぐ歩いていくだけです。
中山駅と台北駅からアクセスした場合は圓環側の入口に到着、雙連駅からアクセスした場合は民生西路側の入口に到着します。
台北駅は上記のイメージマップに加えていませんが、承徳路一段を南部に下ったところに新幹線や台湾鉄道の台北駅(台北車站)、重慶北路一段を南部に下っていったところに空港線桃園MRTの台北駅があります。
雙連駅と中山駅からは徒歩7分程度、台北駅からは10分くらいあれば到着するので、十分歩ける距離です。
滞在している場所に応じて、便利なMRT駅からアクセスしてみてください。
寧夏夜市に美味しいものが多い理由
「どこの夜市が美味しいものが多くておすすめ?」と聞かれたら、迷わずこう答えます。
「一番好きな夜市は基隆の廟口夜市、台北市内なら寧夏夜市か饒河街觀光夜市。」
2018年に発売されたミシュランガイド台北において、ビブグルマンに認定されたお店が寧夏夜市にいくつかあり、グルメ夜市であるということを裏付けています。
圓環と寧夏夜市の歴史
寧夏夜市に美味しいものが多いのは、その歴史的背景も少なからず関係していると言えます。
寧夏夜市やその近隣のお店には「圓環」という冠がついたお店が多いことが特徴で、これが1つのキーワードになります。
圓環の歴史的背景を理解すると「だから寧夏夜市には美味しいものが多いんだ!」ということ、グルメ夜市と呼ばれる所以が明確になります。
寧夏夜市の美味しいお店の情報だけが知りたいの!
こんな方にはちょっと退屈な話になってしまうかもしれませんが、圓環という場所やその歴史を理解することで、美味しいお店選びのちょっとしたヒントであったり、指標になることがあります。
興味のない人は読み飛ばしてください。
ロータリーの圓環
圓環(ユエンフアン)と呼ばれるスポット。
ロータリーの中に広場という造りになっています。
戦前と戦後、圓環と日本人の関係
圓環の歴史は戦前、それは日本の統治時代にまで遡ります。
その昔、昼間は公園、夜はナイトマーケットとして繁栄していた圓環。
戦時中は日本軍がナイトマーケットの営業を中止させ、空襲など防災の観点から圓環を貯水池に作りかえました。
貯水池の跡地。
戦後、ナイトマーケットが復活し、圓環はグルメ天国として、その最盛期を迎えます。
こちらは昔の圓環の姿。
見にくいかもしれませんが、環状に飲食店がひしめきあい連なっています。
1950年代が圓環エリアの最盛期であり、「北に圓環あり、南に龍山寺あり」と言われるくらい、台北の象徴的なエリアだったと言われています。
圓環の衰退と火災
1980年代以降は、台北市の開発が西側から東側にシフトしたことにより、西エリアにある圓環は衰退の一途を辿ります。
圓環は1993年と1999年に2度の火災に遭っています。
1970年代には圓環周辺の道路を拡大する工事があったり、上記の火災により、圓環で営業をしていたお店の多くが現在の寧夏夜市のメインストリートである寧夏路やその一本隣の重慶北路に移転しています。
度重なるリノベーション工事と迷走
火災による被害や老朽化、ロータリー周辺の交通渋滞などの問題があり、台北市は圓環一帯を取り壊し、リノベーション工事に着手、2003年には美食館(グルメ館)としてリニューアルオープンします。
設計上の問題であったり、様々な問題があり、美食館の試みは成功とはなりませんでした。
行政が市民の声に耳を傾けた結果、改めてリノベーション工事を行い、遺跡として、また人々の憩いの場として復活することになりました。
これが2017年7月のことです。
以上が戦前から現在に至るまでの圓環の歴史です。
寧夏夜市で美味しいお店を見極めるためのキーワードと豆知識
寧夏夜市には、圓環がグルメ天国と言われ繁盛していた時代から、昔ながらの味を守り続けながら営業しているお店が多いところが特徴です。
中国語で、昔ながらの味は「古早味」と呼ばれています。
店名に「圓環」という冠や、「老店」、「古早味」とある歴史あるお店は、あまり外れがなく美味しいものを提供している傾向が高いと言えます。
また創業年を参考にするのもアリです。
これが寧夏夜市を訪れる上で覚えておくと良い豆知識です。
寧夏夜市のおすすめグルメ【食事編】
前置きが非常に長くなりましたが、ここからは寧夏夜市のおすすめのお店やグルメについて紹介していきます。
まずは食事メニューの紹介です。
豬肝榮仔の豚レバー&ガツスープ
1950年創業という古い歴史を持つ豬肝榮仔。
お店の看板には「Since 1950」の文字があります。
豬肝榮仔はミシュランガイド台北2018のビブグルマンに認定されています。
豬肝榮仔のメニュー。
豬肝豬肚綜合湯という豚のレバーとガツ(胃)がミックスされたスープ。
ホルモン系が苦手という人は決して少なくなく、私もホルモンはあまり好きではありませんが、豬肝榮仔のスープはくさみが全くなく純粋に美味しいと感じます。
豬肝榮仔の肉粽(チマキ)。
中に色々な具材が入っています。
お店は民生西路側の入口に近いところにあります。
蓮飲料吧のサトウキビ・ミルクジュース
夜市には色々なドリンクスタンドがありますが、おすすめは蓮飲料吧。
台湾のメディアに取り上げられたことがあり、1936年創業と80年以上の長い歴史あるお店です。
看板には「老店」の文字があります。
色々なジュースがありますが、おすすめはサトウキビ・ミルクジュース。
メニュー表をよく見ると、ヤクルト・サトウキビジュースという面白い組み合わせのものもあります。
こちらがサトウキビ・ミルクジュース。
サトウキビ・ミルクジュースの誕生秘話
蓮飲料吧の常連客がサトウキビジュースを注文した後に、いつも自分で牛乳を加えて美味しそうに飲んでいたそうです。
それを見たお店の方が「サトウキビジュースと牛乳なんて合うの?」と半信半疑で試しに牛乳を加えて飲んでみたところ、「これは美味しい!」となり、メニュー化に繋がったという誕生秘話があります。
寧夏夜市の中に同じようにサトウキビ・ミルクジュースを販売しているお店がありますが、蓮飲料吧が元祖になるそうです。
乳製品がダメな方にはおすすめしませんが、牛乳好き!という方にはおすすめのお店です。
サトウキビの優しい甘みが牛乳にマッチしています。
童年木瓜牛奶のパパイヤミルク
木瓜牛奶(パパイヤミルク)も人気のドリンクです。
パパイヤミルクは台湾ではメジャーな飲み物なので、ぜひトライしてみてください。
ただ、個人的にはサトウキビミルクジュースの方がおすすめです。
圓環邊蚵仔煎の牡蠣のオムレツ
寧夏夜市と言えば、圓環邊蚵仔煎の蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)と言われるほど有名な牡蠣オムレツのお店の圓環邊蚵仔煎。
寧夏夜市に来たら必ず立ち寄りたいお店です。
店名に圓環という冠がついているほか、看板に「老店」の文字がありますよね?
これは「美味しい!」というサインです。
牡蠣オムレツ。
中には牡蠣がゴロゴロと入っています。
にんにくの味が効いていて、食欲をそそる牡蠣オムレツです。
圓環邊蚵仔煎には牡蠣オムレツ以外のメニューもあります。
例えば、米糕(ミーガオ)。
排骨酥湯。
スープにはいくつか種類があります。
寧夏夜市には牡蠣オムレツのお店が多い
寧夏夜市には牡蠣オムレツのお店が多く、圓環邊蚵仔煎の近くに、いくつかお店が連なっています。
上の画像にある蚵仔煎大王もその一つ。
こちらも老店としての歴史があります。
賴雞蛋蚵仔煎も人気
夜市のメインストリートである寧夏路を抜けて、民生西路上にある牡蠣オムレツのお店にも地元の人の行列ができています。
賴雞蛋蚵仔煎というお店です。
観光客の方はあまり多くないですが、地元の人に支持されている印象です。
こちらが賴雞蛋蚵仔煎の牡蠣オムレツ。
圓環邊蚵仔煎の牡蠣オムレツよりもねっとりとした食感で、ソースも甘めです。
牡蠣オムレツの中では、やっぱり圓環邊蚵仔煎が一番美味しいと感じています。
はじめて寧夏夜市を利用するのであれば、圓環邊蚵仔煎に足を運ぶことをおすすめします。
方家雞肉飯の雞肉飯
台湾に来たら、B級グルメの代表格である「滷肉飯や雞肉飯を食べたい!」という方も多いと思います。
滷肉飯も雞肉飯も、夜市以外にある有名店で食べる方がおすすめですが、寧夏夜市の中で雞肉飯を食べるなら、方家というお店をチョイスしても良いと思います。
方家の雞肉飯は、一般的なお店で提供される雞肉飯よりも少し甘めのタレが使われていることが特徴です。
私にはちょっと甘すぎるように感じていますが、ハズレのない美味しさです。
無難な雞肉飯を食べたい時は鬍鬚張という選択肢も
寧夏夜市にドドーン!と看板を構え、一際目立っているお店。
それは鬍鬚張(フォルモサ・チャン)。
こちらはチェーン展開しているお店で、滷肉飯や雞肉飯を気軽に食べることができます。
寧夏夜市以外にも色々なところに店舗があるので、あえてここで食べなくても良いかな?と思うところもありますが、試してみたい方にはおすすめです。
価格については一般的な滷肉飯や雞肉飯のお店よりも少し高めです。
蔡家嘉義火雞肉飯
圓環邊蚵仔煎と蚵仔煎大王の間に蔡家嘉義火雞肉飯というお店があります。
火雞は七面鳥、火雞肉飯は七面鳥の肉が使われたご飯です。
日本だとあまり七面鳥を口にする機会がないかもしれませんが、嘉義(ジャーイー)では、火雞肉飯が名物です。
こちらのお店も老店となっていますが、火雞肉飯はまぁまぁかな…という印象です。
実際に口コミの評価もあまり良くないので、あえて火雞肉飯でなくても、方家などで普通の雞肉飯の方を食べる方が後悔がないと思います。
鴨頭正二代滷肉飯
テレビで取り上げられたことのあるお店です。
滷肉飯のほか、蛋包瓜仔肉湯と言う卵が入ったスープが有名です。カレーライスもあります。
飄香牛肉麵館の牛肉麺
滷肉飯と並び、台湾で食べる人気グルメの一つである牛肉麺。
牛肉麺についても、有名店と言われる専門店に足を運ぶ方がおすすめですが、寧夏夜市で食べるなら飄香牛肉麺館というお店がおすすめです。
普通に美味しい牛肉麺です。
寧夏夜市のおすすめグルメ【デザート編】
続いてデザートの紹介です。
劉芋仔
豬肝榮仔と並び、寧夏夜市の中からミシュランガイド台北2018のビブグルマンに認定された劉芋仔というお店も人気で、いつも長い行列ができています。
普通のタロイモボールと卵黄入りのタロイモボールがあります。
こちらは卵黄入りのタロイモボール。
好き嫌いが分かれる味で、個人的には普通のタロイモボールの方が美味しいな…と感じています。
劉芋仔のタロイモボールには独特のモチモチ感があります。
タロイモボールは油で揚げたお菓子で胃にたまりやすいこともあり、たくさん購入するよりも少量を購入して家族や友達と分け合って食べる形がおすすめです。
芋包芋のタロイモボール
同じくタロイモボールを販売する芋包芋というお店です。
芋包芋は饒河街觀光夜市にも店舗があります。
こちらが芋包芋のタロイモボール。
中にはマッシュされたタロイモ餡が入っています。
タロイモ餡の粉っぽさが少し気になりました…。
芋包芋の一番人気はこちらの爆獎芋です。
火傷注意の一品です!
見ての通り、中から卵黄とカスタードがミックスされたものが溢れ出てきます。
タロイモボールは個人的には油っぽさが少し苦手ですが、台湾っぽいデザートとしてトライしてみても良いかもしれません。
冰霖古早味豆花のかき氷や豆花デザート
台湾式のデザートを食べることができるお店です。
かき氷あり、豆花あり、ドリンク類もあり、食後のデザートが食べたい時に使えるお店です。
こちらのお店は孤独のグルメ台湾出張編で五郎さんが訪れたお店でもあります。
夜市のメインストリートではなく、民生西路にあるお店です。
圓環方面からアクセスする場合、民生西路がある交差点から向かって左側に歩いて行くとお店があります。
豆花莊も人気店
豆花については豆花莊というお店も人気です。
その他のお店
こちらは麻油雞(マーヨウジー)で有名な環記麻油雞というお店。
台北で麻油雞が美味しいお店は他にも色々ありますが、「どこの麻油雞が美味しい?」と聞くと、「環記麻油雞」と答える台北出身の人もチラホラいます。
体が温まる滋養料理ですが、油っぽいため受けつけない人もいると思います。日本人は苦手な人が多いかもしれません。
ほかにも、チャーハン、餅など、まだまだ紹介しきれないものがたくさんありますが、慈音古早味阿婆飯糰という台湾式のおにぎりを販売するお店も台湾のグルメ番組で紹介されたことがあり有名です。
ただ、かなり大きいサイズなので、これを食べてしまうと、他のものが食べられなくなってしまうことがあると思います。
その点だけが注意です。
グループで夜市をまわる場合はシェアできるので、飯糰にトライするのもアリです。
冬だけの期間限定のものも
冬になると、夜市や街頭でよく見かけるようになるもの、それは菱角(リンジャオ)。
寧夏夜市でも、冬になると菱角を販売しているお店を見かけます。
素朴な味の美味しい食べ物です。
ルーローハンの名店「三元號」も圓環を代表するグルメ
三元號(サンユエンハオ)は、寧夏夜市のメインストリートすぐ近く、重慶北路にある老舗の有名店です。
元々、三元號で提供していた料理が一皿あたり3元であったことから、それを取って三元號という店名になったと言われています。
三元號もかつて圓環で営業していたお店です。
こちらが三元號の滷肉飯。
そぼろタイプ・つゆだくの滷肉飯で、好き嫌いが分かれる滷肉飯だと思います。(私はあまり好きなタイプの滷肉飯ではありません…。)
魚翅肉羹湯(フカヒレ入りとろみスープ)。
以前、台湾の有名な政治家の方が三元號を訪れ、滷肉飯と魚翅肉羹湯をそれぞれ3セット、合計6碗も一度に食べた!ということが台湾のニュースで取り上げられたことがあります。
6碗?と驚くかもしれませんが、滷肉飯もスープも小ぶりのサイズなので、男性ならご飯とスープの1セットだと物足りなさを感じるくらいのボリューム感です。
皮蛋はその見た目から苦手な人がいるかもしれませんが、三元號の皮蛋(ピータン)豆腐は美味しいです。
まとめ:美味しいローカルグルメが盛りだくさんの寧夏夜市
個人的感想を挟みつつ、ざっと寧夏夜市のおすすめグルメを紹介してみました。
ぜひ、寧夏夜市で美味しいものをたくさん食べてきてください。