ココナッツミルクと卵の優しい味がするマレーシアのKuih Kapit。
紙のように薄い生地が特徴の軽やかなサクサク&ホロホロ食感のクッキーです。
マレーシアのKuih Kapit(クエカピッ)
米粉やタピオカ粉に、ココナッツミルク、卵、砂糖を加えて作るクッキーのKuih Kapit。
クッキーを口に入れると、サクサクの生地がホロホロッと崩れ落ちる繊細な食感を持つお菓子です。
マレーシアにおいて、Kuih Kapitは春節に食べるクッキーの1つとして知られています。
Kuih Kapitの語源と発音(クエカピッまたはクエカピット?)
Kuih KapitのKuih(クエ)は福建語や潮州語の「粿」が元になっている言葉でスナックやお菓子を意味します。
Kapit(カピッ)は、プレス(Press)するという意味を持つマレー語で、生地を型に入れ押し挟んで作るKuih Kapitの製造方法から名付けられた名称になります。
Kapitの発音については、カピッまたはカピットになりますが、日本語でカピットという時のように、はっきり「ト」と発音するのではなく、tの音は軽く発音するイメージです。
カピッという音の方が近いかもしれません。
マレーシアのKuih Kapitの起源
Kuih Kapitの起源はオランダがマラッカを植民地化していた17世紀頃。
オランダのウエハースのレシピを元に、米粉やタピオカ粉、ココナッツミルクなどマレーシアのローカル素材を活用してKuih Kapitが作られるようになった…という説が有力です。
インドネシアやフィリピンにもKuih Kapitに類似したお菓子がある
マレーシアではKuih Kapitという呼び名が一般的ですが、Kuih SepitやKuih Belandaなどという名称もあります。
Kuih BelandaのBelandaはマレー語やインドネシア語でオランダを意味します。
インドネシアやフィリピンなどにも、Kuih Kapitに類似したお菓子があり、インドネシアではKue Semprongと呼ばれています。
フィリピンのお菓子はスペインのBarquilloというエッグロールが元になっていて、スペインがフィリピンを植民地化していた時に伝わったと言われています。
Kuih Kapitがラブレターと呼ばれる理由
マレーシアにおいて、Kuih Kapitは英語でLove LettersまたはLove Letter Cookies(Love Letter Biscuits)と呼ばれることも一般的です。
その昔、恋人たちがKuih Kapitのなかに恋心を綴ったメモ(ラブレター)を入れ、愛を伝えるやりとりをする道具として使っていたため、ラブレターと呼ばれるようになったという言い伝えがあります。
現在ではラブレターを入れる…という習慣はありませんが、恐らくKuih Kapitの隙間に小さなメモを入れていたのでは…と思います。
小さな紙切れが入っているクッキーと言えば、Fortune Cookies(フォーチュンクッキー)を思い浮かべる人がいるかもしれません。
ただ、Kuih Kapitとフォーチュンクッキーは異なるものになります。
フォーチュンクッキーはおみくじが入っているビスケットで、アメリカの中華レストランで提供されることが多いクッキーですが、その起源は日本であると言われています。
伝統的なKuih Kapitの作り方
Kuih Kapit専用の型(モールド)に生地をつけて焼き、温かいうちに折りたたんで作ります。
上記画像はペナンにあるストリートアートの1つで、Kuih Kapitを焼いている様子を表した壁画になります。(上記の壁画には本物の型が使われています)
子供が手にしているものがKuih Kapitの型(モールド)で、片方の型の表面に生地をつけたのち、もう片方の型で生地をプレスして焼き上げていきます。
炭火を使う伝統製法
伝統的な製法では炭火を使います。
今でも伝統製法にこだわって炭火を使って作られているKuih Kapitがあります。
焼き上げたKuih Kapitは、型から外したのち、熱いうちに半分に扇の形に折り畳みます。
葉巻の形をしたロール型のKuih Kapitもある
Kuih Kapitの主要な形態は扇状ですが、葉巻状のものもあります。
イメージとしては香港やマカオなどによくあるエッグロールや、日本のお菓子で言うとヨックモックのシガールのような形状です。
まとめ
軽やかな食感のKuih Kapit。
小麦粉やバターを使ったお菓子のような重たさがなく、ココナッツミルクと卵の風味を堪能できる美味しいクッキーです。
以上、マレーシアのKuih Kapitについての紹介でした!