低GI食品として知られるParboiled Rice(パーボイルドライス)。
この記事ではバーボイルドライスの概要、炊き方や美味しくないと感じた時のアレンジ方法について紹介します。
パーボイルドライス(Parboiled Rice)とは?
パーボイルドライスはパーボイルドという加工が施されたお米で、日本の市場ではほとんど目にすることはないものの、一部の海外では普及しているお米になります。
パーボイルドライスはConverted Rice(コンバーテッドライス)と呼ばれることもあり、
- 籾(もみ)を水に浸す
- 蒸気で蒸す
- 乾燥
…という工程を経て精米されています。
昔ながらの伝統製法は①の段階で籾を常温の水に約36時間浸漬→茹でる(蒸す)→天日干しで乾燥というプロセスで加工されている一方、改良された現代の製法では高温の水に籾を浸したり高圧蒸気で蒸したりするほか、乾燥方法を工夫することで、全体的な加工時間が大幅に短縮されています。
パーボイルドライスの言葉の意味とは?
部分的に調理されていることからpartially cooked riceやpartially boiled riceという意味合いでparboiled rice(パーボイルドライス)と呼ばれています。
下茹でするという意味で使われるParboiling(パーボイリング)という言葉も、これに類似した言葉として挙げることができます。
パーボイルすることでどんな効果があるの?
- 精米時の砕米率を下げる
- 貯蔵性を高める
- 栄養価を高める
…などの効果があると言われています。
パーボイルドライスはその加工プロセスのなかで、糠に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素が胚乳に移動するため、糠や胚芽を取った胚乳だけの状態である精白米と比較して栄養価が高いと言われている理由がここにあります。
また、パーボイルすることでお米の食感がより硬くしっかりしたものになり、ふわふわ&パラパラの食感を生み出します。
Parboiled Riceの色味
Parboiled Rice(パーボイルドライス)はノンパーボイルドライス(パーボイルされていない)一般的な精白米と比較して、黄色味を帯びています。
ただ、Parboiled Rice(パーボイルドライス)でも全て同じ色味というわけではなく、黄色味が強いものから淡いものまで色々あります。
上記画像にある2種類のお米はどちらもパーボイルされているものですが、色味が違います。
炊き上がり後の色味も少し異なり、パーボイルされていないお米とほとんど色味が変わらないものもあります。
①と②のお米はどちらもパーボイルされたもの、③のお米はパーボイルされていない一般的な精白米。
このように比較してみると、パーボイルされているお米はパーボイルされていない真っ白な精白米と比較して、色味が異なることがわかります。
ちなみに3つのお米はいずれもインディカ米。
②はインド産のBasmati Rice(バスマティライス)、③はタイ産のジャスミンライスです。
バスマティもジャスミンも、どちらも英語でロンググレインライス(long-grain rice)と呼ばれる長粒米に分類されますが、バスマティの方が若干細長い形状をしています。
パーボイルドライスは美味しい?
美味しいと感じるもの、美味しくないと感じるものがあります。
普段、マレーシアでパーボイルドライスを購入しているのですが、好んで購入しているブランドがMEWAH。
1kgあたりRM6.50程度(日本円に換算すると200円弱)で販売されていて、とても安いお米ですが、意外と美味しいです。
お米自体の香りにクセがなく、ほんのりとした香ばしいアロマ感を持っています。
ビリヤニを作ったり、カレーに合わせる時は、別ブランドのパーボイルドされたバスマティライスを使っていますが、普段使いのご飯としてはMEWAHのパーボイルドライスが一番口に合うと感じています。
日本米のような粘りを持つ食感を求めている人にはおすすめしませんが、そのまま炊いていただくご飯としては美味しいです。
MEWAHにはバスマティライスを使ったパーボイルドライスもありますが、オレンジのパッケージのパーボイルドライスの方がくせがなく美味しいと感じています。
MEWAHには玄米や寿司ライス、Ponni Riceなど様々なライス商品があります。
バーボイルドライスって本当に低GIなの?
様々な食品のGI値を調べたInternational table of glycemic index and glycemic load values: 2002(Foster-Powell)を参考にすると、パーボイルライスでもお米の品種やアミロースの含有量、調理法、パーボイル加工内容など、様々な要素によりGI値が異なることが示されています。
パーボイルライスでもアミロース含有量が低いものはGI値がそこまで低いわけではないというデータがあるものの、ざっとデータに目を通す限りパーボイルドライスは全体的にGI値が低いものが多くなっています。
パーボイルのプロセス方法によりGI値が低くなる?
Springer Nature発行、European Journal of Clinical Nutritionに掲載されている論文、Glycaemic index of parboiled rice depends on the severity of processing: study in type 2 diabetic subjects(Larsen et al., 2000)では、
9名の2型糖尿病患者に…
- 普通の食パン(White Bread)
- ノンパーボイルドライス(Non-Parboiled)
- 従来法のパーボイルドライス(Traditionally Parboiled)
- 高圧蒸気で蒸したパーボイルドライス(Pressure Parboiled)
…を食べてもらった時の血糖値やインスリンの反応、GI値の差を比較しています。
③は28〜30度の水に約36時間浸漬→25〜30分蒸す→乾燥、④は70〜75度の水に4時間浸漬→120度で12分間蒸す→100度で3分間の前乾燥→室温で乾燥…というパーボイルプロセスの違いがあります。
ホワイトブレッドを100とした時、②〜④のそれぞれののGI値は、②が55±5、③が46±8、④が39±6。
④のGI値が一番低く、②のノンパーボイルドライスと比較してGI値が約30%低いという結果が出ています。
全てのパーボイルドライスが低GIだとは限らないものの、お米の品種と加工の内容によってはかなり低いものがあると言えます。
パーボイルドライスの炊き方
基本的には精白米のお米を炊く時の流れと同じです。
パーボイルドされたバスマティライスの場合、たっぷりのお湯で茹でたり、お鍋で炊いたり、圧力鍋を使ったり、色々な方法がありますが、私はパーボイルもノンパーボイルのお米も炊飯器で炊くことがほとんどです。(火加減を気にする必要がなく、炊きむらがなく、後片付けが楽であるためです。)
水加減について
購入したパーボイルドライスのパッケージに記載されている調理法に基づいて炊いていますが、商品によって、推奨されるお米と水の割合が1:1、1:1.1、1:2など様々です。
水加減はお米の品種や仕上げたい硬さ、またどんな炊き方をするのかにもよって変わってくるのでケースバイケースですが、炊飯器で炊く場合、一般的なロンググレインライスはお米に対して水を1.1〜1.2倍にして炊いています。
逆にチャーハンなどを作る時など硬めに仕上げたい時はお米と水の割合を1:1にしています。
このあたりはお米の種類、好みの硬さやお使いの炊飯器のクセにより多少変わってくると思うので、購入した商品に記載されている調理法を参考にするほか、ご自身で調整してみてください。
美味しくない!と感じた時のアレンジ方法
海外のお米にはありがちですが、商品によっては美味しくない・香りが良くないというものもあります。
匂いが気になる時はチキンストックと一緒に炊いたり、チャーハンやピラフなどにする形が簡単ですが、ここではスパイスを中心としたアレンジ方法について紹介します。
パーボイルドライスに関わらず、「このお米、失敗した…」「香りが気になる…」と感じた時にも使っている方法です。(パーボイルドライスは長粒米が使われていることが大半であるため、ここでは長粒米に適したアレンジ方法について紹介します。)
Jeera Rice(ジーラライス・クミンライス)
カレーを作る時にパーボイルドバスマティライスを使ってよく炊いているものがJeera Rice(ジーラライス)。
スパイスから作るカレーにぴったりのクミンライスです。
Jeera Rice(ジーラライス)はスパイスさえ揃えれば、とっても簡単に作ることができます。
上記のスパイス(カルダモン・クローブ・クミンシード・シナモンスティック・ベイリーフ)を油で軽く炒めて、あとはお米(バスマティライス)と塩を少々加えて炊くだけです。
スパイスはGhee(ギー)を使って炒めていますが、普通の油でも代用できます。
シンプルにスパイスをお米に加える
お米の匂いが気になる場合は、ご飯を炊く時にスパイスを入れるだけでも違います。
ベイリーフ(ローリエ)、クローブ、カルダモン、スターアニス(八角)あたりを入れていますが、このあたりのスパイスの組み合わせは気分に応じて変えています。
お米の匂いが全くなくなるわけではありませんが、スパイスのおかげで「嫌だな…」と感じる香りは軽減されます。
キヌアを加える
スパイスではありませんが、キヌアを使うアレンジもおすすめです。
低GIということで知られるキヌア。
キヌアは単独で食べることもできますが、パーボイルドのバスマティライスの相性が良いと感じています。
キヌアの分量はお好みで良いと思いますが、私はパーボイルドのバスマティライス1合(1カップ)炊く時に、1/4の分量をキヌアに置き換えています。
つまり、お米3/4、キヌア1/4という割合にしています。
キヌア自体にも独特の香りがあり、酒やオリーブオイル、塩などを入れて炊くというケースもありますが、私はお米とキヌアだけで美味しいと感じています。
パンダンを入れる/ココナッツライスにする
パンダンの葉(パンダンリーフ)が手に入る場合は、パンダンを使ってご飯に香りづけをしたり、ココナッツミルクを加えてNasi Lemak(ココナッツライス)にする形もおすすめです。
ココナッツライスはお米にココナッツミルク、パンダンリーフ、レモングラス、生姜のスライス、塩を加えて炊くだけです。(エシャロットと少量のフェヌグリークシードを入れると、香りがさらによくなります。)
ココナッツの香りがふわっと立ちのぼる、優しい味のご飯です。
パンダンの葉自体はそれほど香りが強いわけではないので、カルダモンやクローブなどのスパイスと比較するとインパクトが小さめですが、ほんのりとした良い香りを与えてくれます。
玄米との違い&比較
パーボイルドライスと玄米、どっちを食べる方が良いのかな?
…という疑問。
上記画像はMEWAHの玄米(赤米+黒米ミックス)とParboiled Rice(パーボイルドライス)の栄養成分を比較したものになります。
各種ビタミンや食物繊維など、栄養素の豊富さは玄米の方が上です。
パーボイルドライスにはない栄養素が玄米にはたくさん含まれているため、普段の食生活に玄米も取り入れるようにしています。
玄米は素朴な味がする一方、精米されたパーボイルドライスはほぼ白米のような感覚で食べることができる点も両者の違いです。
調理時間や浸漬の時間は玄米の方が長いので、扱いやすさは精米されたParboiled Rice(パーボイルドライス)の方が上です。
ただ、玄米でも簡単に炊くことができる商品もあるので、研がずに炊くことができるタイプの玄米を選ぶという形も便利かもしれません。
まとめ
低GIということでParboiled Rice(パーボイルドライス)に興味を持っていても、なかなか手に入らない…という場合は、アミロース含有量が高いとされる普通のバスマティライスを試してみる方法も一案かもしれません。
以上、パーボイルドライスについての紹介でした!